イベンターのオデッセーが、春夏秋冬”季節の変わり目”ごとに定期開催中。ライブハウスを舞台に活動しているガールズロックバンドたちの中から、「次の時代は彼女たちが担う」という人たちを集め開催しているのが「GIRLS ROCK SPLASH!!」になる。
8月28日(日)には、Zepp Tokyoを舞台に「GIRLS ROCK SUMMER SPLASH!! 2016」と題し、全11組の演者たちを揃えて開催。出演したのは、HONEBONE/葉月あすか/HERe:NE/ガールズロックバンド革命/CASPA/SEKIRARA/Risky Melody/CANDY GO!GO!/Split BoB/Chu’s day./Cherry Heartsという面々。ライブ後には、「GIRLS ROCK SPLASH!!」の名物司会者である、ハグてっぺい氏によるメンバーらとの談笑混じりのトークも繰り広げられた。
今年の夏のフィナーレを飾るイベントにもなった女性たちの祭典「GIRLS ROCK SUMMER SPLASH!! 2016」の模様を、以下にお届けしよう。
HONEBONE
HONEBONEは、アコギと歌というシンプルなスタイルで登場。ブルーズな演奏に乗せ届けたのが『ドクター』。骨太いギターの音に乗せ、みずからの体験を語るようにEMILYは歌いかけてゆく。なんて生々しくも赤裸々な歌なんだ。
つねにEMILYは、自分の感情をダイレクトに歌と演奏に乗せ突き付けてゆく。『満月こわい』でも、なぜ満月が怖くて嫌いなのかを彼女は熱々と歌いあげていた。想いをぶつけると言っても、重い感情のまま歌うのではなく、意外とあっけらかんと伝えてゆくところがHONEBONEらしさ?!
昔、いじめられていた体験を。歪んだみずからの青春時代を、心が強くなった今だからこそ前向きな気持ちに変え、HONEBONEは『するめいか』に詰め込んできた。とても深刻な心の痛みを、あっけらかんとHONEBONEは歌ってゆく。だから、深い傷さえも真正面から受け止められたのだろう。
『夏が嫌いになっちゃった』理由を、いろんな事象を上げてEMILYは歌いかけてきた。本当は大好きな夏。でも、そこに忘れられない痛い心の思い出があるからこそ、夏が嫌いになってしまった。なんて、リアルに情景の見えてくる歌の数々なんだ。
HONEBONE史上最も暗い曲と語りながら歌ったのが、『骸骨』。精神的なショックからの激痩せ。心が楽になりたいと願う病んだ心情を、EMILYは朗々と歌いかけてきた。それでも「前向きになれ」と。
最後に響かせたのが、「私は屑なんです」と自虐的に叫びながらあっけらかんと歌いあげた『フリーター』。力強いギターの音色を背に、あまりにも赤裸々にプライベートな性格と心情をEMILYは歌いかけてゆく。歌に嘘は付けないと歌い手は言う。HONEBONEの場合、奇麗事など一切口にすることなく、思ったままをぶち蒔けてゆく。それがEMIMYの、HONEBONEの持ち味だ。
葉月あすか
葉月あすかのステージは、オケを流しながら『僕たちの虹』を歌う形でスタート。凛々しく、雄々しく、彼女は場内へ歌を響かせだした。アイドル然とした姿ながら、楽曲と歌声には確かな力強さと主張が漲っていた。
一転、彼女がぶつけたのは、中川翔子の『空色デイス』。もともとロック要素の強い楽曲のように、凛々しさを持った彼女のスタイルにとても似合う曲調だ。伸び伸びと歌う姿を見ながら、彼女自身がアイドルとロックとの接点を結びつけてゆく架け橋な存在に成り得るのでは?!と実感。続く『トライアル』でも、明るく開放的な、空へ駆け上がるよう伸びやかな歌声を葉月あすかは届けてくれた。何よりその歌声には、たぎる熱さと力強さが漲っていた。
ツインドラムにギターというバンド演奏にシフトして披露したのが、『Tampopo Zeppelin』。生の躍動感を得たことで、楽曲はもちろん、葉月あすかの歌声にもさらにパワーが漲り、強く強く想いを主張し出していた。むしろ彼女の場合、バンドを従えたほうが、より自分の身体の内側にあるエナジーが放出されていくようにも感じる。間違いなくその歌には、力強い生々しさが漲っていた。
バンド編成で届けたカバーが、アイドルたちがよく歌っているBuono!の『初恋サイダー』。なんてパワフルに爆走した『初恋サイダー』なんだ。「KISSをあげるよ」の言葉が、強引にKISSをせまってゆくようにさえ感じたほどだ。むしろ、可愛いにも関わらず強引なパワーで奪い取ろうとしてゆく様こそが葉月あすかの特色だ。
続けざまLiSAのカバー曲『Rising Hope』を叩きつけ、彼女は場内の空気を熱く熱く塗り変えてゆく。ロック/アイドル/アニソン、その3つの要素を巧みにミックスしながら、葉月あすかは自身の色に変えて表現していく。なんて美味しい熱狂の要素を備えている子なんだ。
最後は、バンドスタイルでふたたび『トライアル』を披露。重量感を持った演奏が台風のように熱狂の勢力を増してゆく。サビで熱唱する歌声を聞きながら、気持ちが高ぶり、心が震えていた。可愛い姿に、あふれんばかりのロックなエナジーを詰め込み吐き出してゆく葉月あすか。その存在は、あなどれない!!
HERe:NE
「うちらヲタクなポケモンをゲットしにきたから」「モンスターボールがないから、これでゲットするよ」と、彼女たちはライブを始める前にしゃもじを場内に巻き始めた。まずはもので釣りながら、次は演奏でファンたちを釣ってゆく。それが、この日のHERe:NEの攻め方だ。
『あおりかしら』を通し観客たちを飛び跳ねさせ、『声を出そうかしら』で「WOW WOW」と声を張り上げさけてゆく。いい感じで気持ちが温まったところで、ゲストヴォーカリストとして招き入れFROZEN CAKE BARのクリザベスが姿を現した。この日は、ヴォーカルのおかんこと和鬼子が病気で欠席。そこから、このようなライブの展開が生まれたわけだ。
続いては、観客たちどうしで『手をつなごうかしら』とばかりに、横の人たちと手を繋いでジャンプをし始めた。一体感を作り上げたまま『しゃもじかしら』に『モッシュかしら2』と、HERe:NEは次々と盛り上がりのレクチャーを行なってゆく。レッスンの中、観客たちが広い会場を走りまわる風景の、なんて運動会めいていたことか…。
ここからは、いつものHERe:NEモードへ。『Golem(ゴーレム)』が流れたとたん、客席前方で観客たちが床の上をコロコロと転がれば、モッシュしてゆく風景も登場。「壊せ、常識を」の歌通り、熱く激しく攻めゆく楽曲に刺激され、気持ちが高ぶらずにいられなかったのも納得だ。ステージ前方は、自由気ままに暴れ祭るファンたちに支配されていた。熱気を継続したまま、会場中の人たちが肩を組み、ラウドな音の唸りを轟かせた『肉弾戦』に合わせ、大きく身体を揺らしてゆく。
最後は、『Go!Go!BREAK!』の登場だ。「ぶっ飛んでいくぞー!!」の声を合図に、観客たちがタオルを振りまわし、一斉にサークルモッシュの輪を描き出した。触れた人の気持ちをウキウキと弾けさせる楽曲のように、誰もが好き勝手、自由奔放に熱狂を舞台上へぶつけていた。楽しむことに理由も規則もスタイルも関係ない。心がはしゃぐままに騒げばいい。その風景を、HERe:NEは最後にしっかりと作りあげていった。
ガールズロックバンド革命
ぶっ太い音からの幕開けだ。舞台上から『MOMENT』が溢れ出たとたん、場内から絶叫が飛び交いだした。スリリングな演奏を通し観客たちと熱い熱狂の駆け引きを描き出せば、挑発的に歌い奏でながら、気持ちを武者震いさせる心地好い緊張感をガールズロックバンド革命は与えてきた。
エナジーを放出しまくったテンション高い演奏が、炸裂!!。続く『バイブレーション』でもガールズロックバンド革命は、高いポテンシャルを抱いたまま観客たちを熱く熱く煽ってゆく。もともと感情を剥き出しにライブを仕掛けてゆくバンドだったが、そこへしっかりとした演奏力が加わったことで、楽曲に、演奏に、魂を震わせる強烈な存在感をますます覚えずにはいられなかった。
この日はゲストギタリストにSEKIRARAのミーア・クボコを迎えて、演奏。ほとばしるエナジーがとめとなく溢れだす。胸はしゃぐ嬉しい緊張感を抱きながら『ランナーチェイス』が駆け出した。挑むように歌い演奏するメンバーたち。もっともっとこの衝動に身を預けていたい、もっともっと熱く魂を揺らしたい。場内に飛び交った♪WOW WOW WOW♪の雄叫び、誰もがそう叫ばずにいられなかった。
光を撒き散らすように解放感満載で演奏が駆けだした。『sparkling smile』が届けたのは、明日へ向かう前向きな勇気、青春の輝きにも似た、眩しい真っ直ぐに弾けてゆく感情。「君が笑うそれだけで幸せを感じる」、そんな一体化した空気に触れているだけで、たまんないくらいに心地好いんだよ。
「次は会場をパンパンにする存在になって戻ってきます」。最後に飛びだしたのが、ガールズロックバンド革命の顔とも言えよう『声』。その声は、確かに響き、心に届いていた。グサグサと胸に突き刺さったからこそ、場内中から雄叫びが、拳が突き上がっていた。その叫びが、もっともっと会場を超えた先まで届いたとき、きっとガールズロックバンド革命は先の約束を叶えてくれるはずだ。
CASPA
笑顔で拳振り上げたい幕開けだ。CASPAの音楽は、無条件に身体に光を充填させてゆく。それは、彼女たち自身がキラキラと眩しいほどに未来を見据え、想いを叫んでいるからだ。『The End Of The World』に触れながら、幾つになっても夢見る気持ちを信じたくなっていた。この世界の未来を滅びさせるのか、まだまだ輝かせるのか、それは自分たちの夢を見る気持ち次第。「何も恐れることなんかない」んだよな。
場内中から突き上がる無数の拳。タイトなビートに乗せ、ウキウキと沸き上がる感情を『Goodbye Sayonara』が与えてくれた。ときめいた、その衝動が答え。ワクワクがどんどん増えていく、気持ちに光が満ちてゆく、そんな気分だ。
CASPAが求めているのは、輝き放つ未来。たとえ悲しみに堕ちようと、そこから這い上がる力を彼女たちは与えてゆく。いや、彼女たち自身がその意識で活動していると言ったほうが、正解か?!。『Sally』に触れ、胸に勇気を受け止めながら、そんな想いを巡らせていた。重く唸るミッドナンバー『静寂と光』が、心へ、慟哭にも似た痛みを響かせた。胸の内を嘆くように歌い奏でるメンバーたち。一つ一つの言葉が、旋律が、説得力を持った痛みとして感情の奥底へと堕ち続けていた。
突き上がる拳・拳・拳、カラッと晴れ渡る風を巻き起こすように、ハードエッジなロックビートに乗せ『Beautiful Dreamer』が駆けだした。掲げた拳は、身体中から沸き上がる凛々しいエネルギーを確かに握っていた。その気持ちを、舞台上へ突き放つように。。。
ヴォーカルMiyuのアカペラからスタート。演奏が寄り添うと同時に、ドラマは、一気に身体中から暖色系のオーラを撒き散らしながら炸裂し始めた。『歌をうたえば』に触れながら、気持ちの奥底から昂揚した感情が次々と沸き上がってきた。このワクワクとした衝動を笑顔で受け止められている限り、絶対に明日へ踏み出せてゆく。その一歩を踏み出す勇気を、CASPAが教えてくれた。
SEKIRARA
いきなりゲリラ豪雨に見舞われた気分だ。『まぶしい朝』?!、いやいや、凄まじい破壊力を持った音の雨にびしょ濡れになった気分だ。巧みに緩急のバランスを付けながらも、その歌声や演奏には、突き刺さる強烈な感情が濃縮されていた。一音一音ひと声ひと声の濃度が濃いからこそ、その刺激が強烈すぎた。そうか、破壊力が強すぎて違った意味で眩しかったな。
凄まじいエナジーに包まれた衝撃を塗り重ねるように、舞台上から『コドモダマシノ夜』が解き放たれた。大きな空間の中、スリリングな演奏が緩急巧みに物語を描いてゆく。でも、歪んだ音の唸りが「暴れ狂え」とばかりに爆発のスイッチをムチャ押し続けていた。掻き鳴らされるギター。歌物曲ながら、2本のギターが絡み合う音からは「攻める」意識が色濃く抽出されていた。『一秒でも長く君の記憶になりたい』?!、いやいや、一秒でも長く轟音に悶絶させられていたい気分だ。
轟音に乗せ、わだかまった気持ちを一気に解き放つように『メリーゴーランド』が響き出した。なんて感情的な歌声だ、演奏も鋭い衝撃と衝動を与えてゆくが、大波ユリカの歌声からはサディスティックなほど挑発する”気”があふれていた。絶唱女(スケ)番長に攻められたら、熱狂を傾けるしかないじゃない。でも、それが嬉しいんだけどさ。
「まだまだヤレますか!!一緒にイキましょう!!」。熱狂へ拍車をかけるように『はじめからいらない愛だった』が飛びだした。ソリッドでタイトな音に包まれながら、誰もが恍惚に浸るよう身体を揺らし続けていた。感覚をトリップさせてくれる、それってたまんない心地好さじゃない!!。大きな空間の中へ音を這わせた『嘘』まで、終始、衝動と衝撃に包まれた不思議な恍惚感をSEKIRARAは与え続けてくれた。こういう音楽の媚薬なら、いくらでも摂取したい。
Risky Melody
スペクタクルな映画の始まりのよう、勇壮で雄大な緊張感を持って物語が幕を開けた。『A NEW DAY』が場内へ導いたのは、熱狂はもちろん。スケールあふれたドラマチックな物語のキャストとなり、ともにストーリーを描いてゆくこと。楽曲自体がシンフォニックロックな雰囲気を持っているからこそ、一つ一つの展開を一緒に塗り広げたくなる。メンバーと観客らが共にドラマを作りあげることで、自然と魂も燃え盛ってゆく。そのダイナミクスな楽曲が生み出した雄大なうねりを荒く掻き立てるよう、激しく、躍動的で、情熱漲らせた『情熱Splash!』をRisky Melodyは突き付けた。魂を熱く揺さぶる演奏に触発され、観客たちが拳を振り、雄叫びを上げていた。まさにタイトル通り、身体中から沸き上がる熱した感情を持って、思いきり弾けずにはいれない気分だった。
「笑って笑って、隠していたのは真っ直ぐで醜い情熱で」。秘めた熱を持った想いをRisky Melodyは『Pierrot』という姿に投影してきた。Risky Melodyは歌物バンドでありながら、その演奏にはハード/ドラマチックなメタル要素が内包されている。激しく躍動する演奏の中、歌に酔いながらも、次々転調しながら緩急効かせた物語を1曲の中に描き出すのは、そこに理由がある。『ペチュニアの咲く丘』も、情熱的な映画の予告編を見ているように、胸打つ場面が次々色を変え眼前へ投影されてゆく楽曲だ。美しいサビ歌に隠し持った燃え盛る感情、演奏に心地好く酔いながら、様変わりする場面に心の視線を傾け、大きく揺れる演奏へ大勢の人たちが嬉しく溺れていた。
エレクトロなダンスビートと躍動するロックな衝動を重ね合わせた『ALL AS ONE』が飛びだした。共に「WOW WOW WOW」と雄叫びを上げ一つに溶け合える、とても明るくも勇壮な歌だ。気持ちを明日へ連れてゆく、いや,一緒に心一つに未来へ突き進もうという意志を与えてくれるシンガロングな楽曲だ。ライブで心を一つに騒げる歌なのが、何よりも嬉しいじゃない。
「この夏、一番熱い夜にしようぜ!!一つになろう」!!」。最後を彩ったのは、バンドのテーマ曲『Risky Melody』だ。スリリングさと燃え盛る激しい情熱が交錯してゆく。観客たちを荒々しく挑発してゆくヴォーカルALICEの煽りに導かれ、場内には気持ちを一つにした熱狂が生まれていた。
CANDY GO!GO!
何時もはオケを用いてのステージだが、この日は生バンドを従えてのライブ。冒頭を飾ったのは、駆け上がるどころじゃない、アクセル全開で暴走する嬉しい衝撃を与えた『Cinderella Call』だ。荒々しく疾走する演奏の爆発力はもちろん、一体化したパワフルな歌声が、胸へガンガン突き刺さってきた。広いステージを目一杯使い、ダイナミックな動きで観客たちを熱く熱く挑発してゆく。これくらい広いステージこそ、今のCANDY GO!GO!には似合う環境だ。
加速した勢いはさらに増し出した。『絶対加速少女C』を歌いながら、CANDY GO!GO!のメンバーらは艶かしく、激しさも添えながらせまってきた。なんてエロく挑発してゆくステージングなんだ。セクシーなパフォーマンスに圧倒されるのはもちろん、大人の色気にもノックアウトされた気分。今の彼女たちには生演奏の持つ生々しい情熱が一番似合う。
8月に発売した最新シングルナンバーを、ここからは2曲連続生バンドスタイルで初披露。去りゆく夏をグイグイ常夏へ引き戻すように、気迫満載のもとCANDY GO!GO!は『ワンチャン☆サマー』を歌い出した。その勢いは、確実に会場に熱狂を巻き起こしていた。メンバーらの歌声や煽る声が数倍増しで聞こえるのも、パワフルなバンドの演奏に後押しされてのこと?!。なんて灼熱の夏を連れてくるステージングだ。なんてパーティ気分のもと、ウキウキに心騒がせてくれる歌なんだ!!
続く『endroll』は、情熱満載なビートロックナンバー。スリリングなギターの音響き渡るバンドで演奏してこそ臨場感を増してゆく楽曲らしく、この日も、眼前へメンバーがせまってくる感覚を覚える躍動を持って迫っていた。90年代バンドブーム時のビートロックバンドが持っていた情熱ロックなスタイルが、『endroll』からは甦ってくる。それをCANDY GO!GO!が歌うことで、そこには青春を謳歌した眩しいスパイスも振りかけられていた。
同じくスリリングなビートロックナンバー『overdrive』が飛びだした。なんて挑発的な歌なんだ。彼女たちは気持ちが沸き上がるままに歌っている。でもその歌声には、間違いなく、相手へ挑みかかり、ハートをガシッと奪い取ってやる野望にも似た情熱が漲っていた。最後に叩きつけた『NERVOUS VENUS』も、英詞を軸に据えたビートロックナンバー。そう、この日のCANDY GO!GO!は、バンド演奏が似合うビートロック曲を備え、これが「CANDY GO!GO!の描き出しているアイドロックなんだ」という姿を示してきた。終始、熱狂と絶叫が止まないところか、興奮した空気が火照り続けていた理由も、納得だ。
Split BoB
駆け上がるドラムビートに合わせ、情熱を滾らせるように演奏がどんどんパワーを増幅させてゆく。メンバーのテンションの昂りに合わせ、観客たちのテンションもシンクロするように上がっていた。『Parallel World』を通してSplit BoBが作りあげたのは、会場を一つに熱を持ったドラマを作り上げようという姿勢だ。それが、今宵の物語のプロローグのように…。
『スターになれない』を合図に、場内のテンションは一気に爆発!!。メンバーもカラフルでパワフルな演奏を真正面からぶつけ、熱狂する観客たちへさらに熱いエナジーを降り注いでゆく。つかみをもった歌系楽曲なのに、演奏には重厚さが漲っている。だからこそ、身体が震える興奮を覚えていた。
身体の奥底から歓喜した想いを沸き立たせるように『BE READY』が流れ出した。ズシッと響く演奏が、気持ちの内側から荒ぶる熱い感情を引き出してゆく。いや、その演奏に触れていると、どんどん想いが沸き上がってゆく。魂が武者震いする感覚って、きっとこういうことを言うんだろう。
観客たちのクラップへ導かれるように、ヘヴィでファンキーな『スパイス』が登場。触れた人たちを頭からっぽに踊り狂う場へ『スパイス』が連れてゆく。Split BoB流ダンスロックナンバーは、腰にズンズンどころか、身体中をガンガン揺さぶる重い衝動に満ちていた。メンバーの煽りに合わせ、「WOW WO WOW WO!!」と叫びながら重厚なダンスビートに飛び乗り、ただただ「わっしょい」踊り狂いたい。それこそが最高の快楽なんだもの。
一転、摩訶不思議な幻想空間へとSplit BoBが連れ出した。『幻想の中で』は、触れた人たちを現実から逃避し、音の媚薬にまみれる熱した空間へと連れ出してゆく。主張を持った歌が、興奮に酔いしれた身体に痛い恍惚を与えてゆく。そして…。
「この5人でしか出来ない何かがある。この気持ちについてきて欲しいなと思います。みんなで最高の景色を作ろう」。♪この目で、この足で、自分を探す♪。最後に、自分たちの意志を投影した『FLY HIGH LIAR』をSplit BoBは叩きつけた。場内では神輿され騒く観客たちの姿も。何より彼女たち、一貫して図太い音の衝撃を投げ続けていた。そのぶれない姿勢が、彼女たちを熱く支持する人たちを増やし続けている要因だ。
Chu’s day.
Chu’s day.の奏でる『Cycling』が場内へ響き出したとたん、一斉にタオルを振りまわし、熱いハートビートに導かれ跳ね続けていた。そこは一瞬にして青春を謳歌する舞台劇へと変貌。演奏に触れた一人一人が主人公となり、眩しい恋の想いに駆られ、駆けだしたい気分に浸っていた。熱した感情を、さらに火照った想いに駆られる青春ドラマの主人公に変えたのが、『HOT GIRL』だ。ドキドキする気持ちを、Chu’s day.の歌と演奏が身体中に注ぎ込んでゆく。ウキウキが止まらない。ただただ、無邪気にはしゃぎ続けてたい。Chu’s day.のライブ、序盤からいい感じでハートのテンションを上げてくれるじゃないか。
場内を、大はしゃぎのパーティ空間へ塗りかえたのが『Hip Hip Hooray』だ。演奏が進むごとにワクワクした感情が膨らんでゆく。観客たちも拳を振り上げ、ありったけの声を舞台上のメンバーへぶつけていた。ERIの歌には、強い主張が漲っている。その想いを、こんなにも歓喜な表情に変えて届けてくれるとは。それが、最高じゃない!!。
ポップでキュートで、何より、コケティッシュなガーリームードが爆発。『Lovesick girl』は、女の子特有のハート模様を詰め込んだナンバー。パワフルな声でガールズな心の風景を歌うからこそ、触れているだけで胸がキュンキュンときめき続けてゆく。まるでガーリーな舞台劇を見ているような感覚のもと、そのステージングを楽しく見惚れていた。
「ここから駆け抜けていきたいと思います」。力強く躍動的な演奏を背に、ERIが自分たちの生きざまを『GLORY DAYS』を通し熱く宣言。場内では誰もが輝き放つ歌を、タオルを振りまわしつつ、みずからの力に変えながら受け止めていた。Chu’s day.は大きなステージこそ映えるバンドだ、遠くまで響く空間だからこそ似合う歌を伝えてゆくバンドだ。最後に届けた『RUSH!!』でもChu’s day.は会場中に気持ちのウキウキ止まないハッピーな空間を作りあげていた。つねに、眩しい青春のきらめきを熱狂に変えて表現してくれるChu’s day.。そのキラキラが輝き続ける限り、ずっとずっと追いかけていたい。そして、何時だって青春の輝きの中で永遠を謳歌していたい。
CherryHearts
さすがハッピーな香りを振りまいてゆくバンドらしい、楽しくはっちゃけたライブだ。トリを飾ったCherryHeartsのステージは、会場中の人たちのはしゃぎたいウキウキなボルテージを一気に上昇させた『Hello』からスタート。触れた人の身体へ、ワクワクのエネルギーをガンガンに注いでゆく。クシャクシャの笑顔で騒がないなんてもったいない。キャッチーなのに激しさ備えた演奏に飛び乗り騒がなきゃCherryHeartsのライブじゃない!!。『青春レジスタンス』は、身体を思いきり弾ませる疾走した歌系ナンバー。メンバーと観客たちによる歌のやりとりも登場。激しくロックしながら、つかみを持っているからこそ、その歌声に惹かれながらも身体は自然に暴れ続けてしまう。
お馴染み『My Way』に合わせ、メンバーも観客たちも一緒に左右へステップを踏みだした。ガーリーでポップビート炸裂した歌が、理性の服を脱ぎ捨て、全力ではしゃぎたい嬉しいトキメキを与えてゆく。メンバーの動きにシンクロするように観客もステップ踏めば、身体を折り畳んでと、一緒に熱狂を共有し続けていく。みんなで熱気を作りあげる、そのGO!GO!!とした一体感が最高じゃない!!。続く『Weekend Warrior』でも、ヴォーカル笹宮千穂の動きに合わせ、場内の人たちが一緒に振り真似しながら、気持ちを一つに熱狂の中へ溶け合っていた。彼女たちのステージは大人が無邪気に、本気で童心に戻って騒げるお遊戯会のよう。それも、クオリティ高いステージングを通し、触れた人たちの心を無邪気に踊らせてゆくからこそ生まれる風景だ。
『ねがいごと』でもCherryHeartsは、胸にときめきのエンブレムを与えてゆく歌を届けてくれた。その演奏に包まれているだけで、次々とワクワクが身体中からあふれだす。泉のよう、とめどなくウキウキが沸き上がり続けてゆく。最後の『Beautiful Days』でも、誰もが思いきりタオルを振りまわし、ドキドキの弾丸を次々と撃ち放つ演奏へ全力で、クシャクシャの笑顔でぶつかり続けていた。ズッとズッと上がった気持ちのまま走り続ける刺激的なアトラクションに乗ってはしゃぎ続けてゆく。そんな楽しみきったハッピーな興奮をCherryHeartsは与えてくれた。
アンコールの『Life goes ON!!』でも、会場中の人たちみんなが全力でタオルを振りながら、この瞬間を忘れたくない熱狂の思い出に変えながら、このイベントを締め括っていった。
次回の「GIRLS ROCK SPLASH!!」は大阪が舞台!
次回は9月17日に大阪は阿倍野ROCK TOWNで「GIRLS ROCK SPLASH!!2016-OSAKA-vol.2」の開催が決定している。関西地区のガールズロックファン、ぜひ熱狂にまみれに遊びに行って欲しい。
PHOTO:樋口明日香、熊谷美妃、三村愛
TEXT:長澤智典