geek sleep sheep、ワンマンライヴレポート!

 
geek sleep sheepのワンマン・ライヴ「confusion bedroom vol.3」が、恵比寿liquidroomで開催された。作品未発表のまま行なわれた東京初ワンマンを第1回目に、2回目は、1stアルバムnightporter』リリース直後にと、活動の節目に行なわれている、geek sleep sheepにとって大事なライヴ。そして、momo kazuhiro(MO’SOME TONEBENDER)、345(凛として時雨)、yukihiro(L’Arc~en~Ciel)という、誰も想像しなかった異色の組み合わせの3人が、段々と「バンド」になっていく、成長していく過程をその都度見せてくれるライヴだ。回を重ねた今回は、バンドとしてのタフな成長を見せてくれるとともに、3人のバランス感覚や遊び心やユーモアなどgeek sleep sheepというバンドが持つキャラクターを覗かせるものだった。
 
 今回のライヴは、二部構成。また、開演前には“hitsuji”のドレスコードで、思い思いのhitsujiスタイルでキメてきてくれたファンのスナップ撮影会が行なわれたり(後日メンバーが大賞を決定)、一部と二部の幕間には、以前Ustreamの生番組でも登場したひつじのぬいぐるみがほのぼのとした映像で会場を盛り上げる、これまでにない演出もあって、スペシャル感が加わった。第一部は、アルバム『nightporter』のなかでもノイジーで、ポップなサイケデリアで眩惑する“Strange Circus”でスタートし、yukihiroの小気味いいドラミングからmomoが「S、A、N、P、O! SANPO」と声を上げ、“SANPO”でさらにシュールなポップ・ワールドへと誘う。グルーヴするドラム・ビートとmomoと345がかけ合うキャッチーなメロディに、自然とハンドクラップが起こって、会場はのっけから明るく弾けたムードだ。
 
 この日の衣装は「久しぶりにたんすの奥から引っ張り出してきた(momo)」白いパジャマ。geek sleep sheepとして活動をはじめたごく初期に着ていたレアな衣装だ。momo「みんな医学部の研究生みたいに見えるけど、345ちゃんは歯医者さん?」、345「歯科助手です(笑)」、momo「yukihiroさんは後ろから見ると女性にしか見えない」と言うとyukihiroは観客に後ろ姿を見せて大きな拍手が湧き起こったりと、3人でリラックスしたやりとりをしながら、次に披露したのは新曲“rain song”。幻想的なサウンドに345の憂いを帯びたヴォーカルがフィットして、ポップにもアンニュイにも響く曲。それぞれの色や特性が絶妙にかけあわさった曲は、3人での時間を重ねたなかでこそ生まれるものだろう。
 
(全角アケ)また第一部では、ファンにはお楽しみのカバー曲も披露。このライヴに向けてTwitterでgeek sleep sheepにカバーしてほしい曲を募集してきたが、そのなかからNIRVANAの“LITHIUM”と、momo曰く「yukihiroさんと僕の大好物」なThe Cureの“Just Like Heaven”をプレイした。NIRVANAの曲は「confusion bedroom vol.1」で“Smells Like Teen Spirits”をやっているけれど、今回はメインのヴォーカルが345という意表をついたカバーで観客から驚きの混じった歓声がいちだんと大きく響いた。こうして、サプライズやサービス精神満点の第一部が終了。
 
 第二部ではパジャマを脱ぎ、geek sleep sheepサウンドをダイナミックに魅せる構成となった。345のベース&ヴォーカルではじまり、80~90年代のUSカレッジロックと昭和歌謡が混じり合ったような“Teardrop”、そしてさらにエモーショナルな“Last Scene”や、淡々としたメロディにyukihiroのドラムでドラマをつけていく“frame”といった曲で、グッと深い世界へと入っていった。そしてこの二部でも、新曲が披露された。「できたてほやほやの曲で、ステージ上には本日いちばんの緊張感が漂ってる」というmomoの紹介でスタートした曲は、かつてなくドラッギーでスピード感のあるロック・チューン。本領発揮といった具合でmomoのギターがバーストし、3人の濃いアンサンブルが観客を飲みこんでいく、まさにライヴ向けの1曲だ。続けざまに披露したLove and Rocketsのカバー“Motorcycle”について、「geek sleep sheepのオリジナルとしてもらいたいくらい」とmomoはMCしていたが、新曲からの流れと言い、サウンドのはまり具合といいばっちりでクライマックス感たっぷりだった。
 
 第二部の後半は、345による物販紹介にはじまり3人でのゆる~いトーク(といってもyukihiroはマイクがないのでジェスチャーなどで楽しませてくれるものだったが)もあり、曲のソリッド感とは裏腹の3人の間に流れる和やかな空気を窺い知ることができた。それぞれのバンドのライヴでは見せない横顔ゆえに貴重な瞬間でもあるし、geek sleep sheepというバンドが、3人にとってとてもいい意味で肩の力を抜いて楽しめる場として機能してるのだろうとも思わせる。
 
 映像を用いてドラマティックな空間を作り上げていった終盤は、“Daydream”から“IMAGINATION”へ、ゆっくりと夢から目覚めていく流れから、この日3曲目となる新曲“Kakurenbo”へと続いた。そして、「今日は重大発表はないつもりだったけど――有言実行してみる?」とmomoがふたりへ問いかけ、今年中にはレコーディングをすることが観客へと告げられ、ラストにデビュー曲となった“hitsuji”をプレイしライヴの幕を閉じた。このデビュー曲から1年、geek sleep sheepの活動はますます加速している。失礼ながらこの異色の組み合わせもありちょっとした企画もののバンドだと、筆者は捉えていたけれども、まったくちがう。組み合わせの妙を楽しみ、新たなサウンドを打ち立てながら加速度的に進化をしている、現在進行形の「バンド」を見せてくれる。今回の「confusion bedroom vol.3」はそんな節目の一夜となった。
Text: 吉羽さおり
Photo: 河本悠貴
 

 

geek sleep sheep オフィシャルサイト
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