2013年11月20日、TSPが元サイクルの Kouzy(Vo)、44MAGNUMのサポートでも活躍していたTOKI(B)を迎え、新型TSPとして活動再開することを発表した。超攻撃型爆音体制で、ツアー“Tribal Scream of Phoenix 2013-2014”を控えるTSPのメンバーに、新型に対する想い、今後の活動などについてインタビューを行った。和やかで笑いの絶えないインタビューの中に垣間見える、想いの伝承、ゼロからの再生など、彼らの未来に向かう歩みを感じて欲しい。
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-いよいよ新型TSPとしてのメンバーを発表し、活動を再開されました。
今の心境を聞かせてください。
【Shu】 第3期TSPでは、ベースがサポートになっていたこと、Kが別バンドをやっていたことから活動がなかなか思うようにいかず、2か月に一度ライブをやるくらいの感じでしかなかった。これじゃバンドとしていかんな、ということで、新しいメンバーをちゃんと入れて、このバンドをメインとして活動できるような体制にしたいと思ったのが始まり。
実は Kouzyには、 3~4年前、サイクルのライブを見たときに、非常にいいボーカルだというのを知っていて、サイクルを脱退した後、しばらくしてだけど、声をかけているんです。でもその時はメールが返って来なかった(笑)。
【Kouzy】 俺がサイトの管理を他の人にお願いしてたので、すれ違っちゃってるんです・・・ そこから 3年経って、ようやく出会うことができた。
【Shu】 そういう状況だったんで、今回もう一回連絡してみたら、ぜひやってみたいっていう話をもらって。TOKIに関して言えば、Cloud Nineで MARUが辞めた時にベースを探していて、その時に初めて会ったんです。
【TOKI】 俺、Cloud Nineのファンだったんですよ元々。だからとにかく会いたいなと思って。
【Shu】 その時は、ただの若いワルガキだったんだけど(笑)、それからよく会うようになって、セッションとかやったりしてね。で、最近は、44MAGNUMのサポートやってたし、大先輩のバンドでサポートするっていうのは並々ならぬ決意もあったんだろうと。それなら、もちろん、プレイも心構えも大丈夫だろうと思って、TSPで弾く気はあるか?と言った瞬間から、本人は加入したと思ったらしい(笑)。
で、前のメンバーの TSPは終わらせると宣言しました。だから今回は新型 TSPという言い方をしてますけど、僕からしてみたら、バンドを結成してここからスタートだと。ただTSPという名前はTAIJIが残しくれたものだから、やはりTSPじゃなきゃ意味はないんですが、新しいバンドとしてやろう、それくらいの心構えでやろうという話を二人にもしました。新しいバンドをやるぞっていう気構えですね。
-TSPを作った TAIJIさんへの想いやエピソードがあったら聞かせてください。
【Shu】 この 4人になって嬉しいことの一つでもあるんですけど、Kouzyも TOKIも TAIJIをリスペクトしてくれているっていうのが非常にありがたいんですね。あと、きっとTAIJIがいた時に Kouzyを連れてきても「よし、ぜひこいつでやろう」って言ってくれるだろうっていうのが、僕にはわかるんです。
TAIJIは自分を好きでいてくれている人をすごい好きなんで、ふたりがTAIJIを日本一のベーシストだって言ってる限りは、ぜったいに喜んでいると思うんです。
【HINA】 Shuさんに TAIJIさんを紹介していただいて、このバンドでやろうって言われた時に「ええ!?」っていう衝撃度、みたいな。TAIJIさんとやるっていうのも衝撃で・・・
【TOKI】 俺は TAIJIさん好きですからね(キッパリ)。TAIJIさんのエピソードっていうか、所属してたバンド言わしたら超詳しいですよ。DEMENTIAとか、あの頃とか全然知ってますもん。俺、16の頃に親に勘当されて家出ていこうと思ったんですけど、それの決め手になったのが TAIJIさんの自伝「Xの生と死」なんですよ。あれを肌身離さず持ってて、それに「ロックが決めた人生」っていうタイトルの段落があって、もうそれだって思ったんですよ。
-TOKIさん、Kouzyさんは Shuさんから TSP加入の話をもらった時、何を感じましたか?
【TOKI】 俺自体、高校の頃 Cloud Nineを初めて聴いて、めっちゃスゲーみたいに衝撃を受けまして。俺の青春ですからね。俺は hide with Spread Beaverを聴いて音楽始めたんで、その時のドラムが JOEさんじゃないですか。そのJOEさんと44MAGNUMで武道館をやってしまって。それで今 Shuさんとやってるじゃないですか。だからもう夢が叶ってしまったような・・・
【Kouzy】 Cloud Nineは当然リスペクトでしたよ。
【Shu】 僕は、自分のことをまだまだ下っ端なミュージシャンと思ってるので、2人がそう思ってくれていたのは本当にありがたい。ほんとにそういうメンバーで嬉しいです。
-新型TSPはどんなバンドになりそうですか?
【HINA】 12月、北海道のライブからスタートして、レコーディングも12月の後半から進めつつ、2月にライブが入っています。早く音源を出したいので、東京でやるまでにガッツリ仕上げたいなと。自分たちはまだライブをやってなくて、音源も録っていないので、自分でもどうなるか楽しみなので、みんなも楽しみにして欲しいなと思います。
【Shu】 ホントわかんないですね、まさに今作っている最中で、それぞれにハードルも高くなってるので。前を上回らなければいけないっていう TOKIも Kouzyも、背負うものはたくさんあると思うので。
【Kouzy】 前のボーカルの Kさんはとてもいいボーカルだったと思うんですよ。僕としてもすごく勉強になったし、それだけでもハードルは高いです。音源もそうなんですけど、今重点をおいているのは、ツアーで力をつけてっていうところ。そこで真価が求められると思うんですよ。今の僕らが持っているものは録れると思うんですが、ツアー終わった後なら、もう一発違うものが録れるんじゃないかと思ってます。
【Shu】 先日もスタジオ入ったんですけど、もうあぁでもないこうでもないって。僕が今
までやってきたバンド、もちろん Cloud Nineの時から考えても一番大変な作業をしています。ハードルが高すぎて(笑)。もちろん時間をかければいい曲ができるってわけではないですけど、世の中に出ている新しいロックバンドがあまりにもクオリティが高すぎて、こいつらに勝つにはどういう曲を作ったらいいんだろうって。僕らの得意なところだけやってたんじゃ、ぜんぜん勝ち目がないんですよ。今 、Cloud Nineや第3期までのTSPと同じ方法論でやってたら、ぜったいに勝てない。だから、どうしたらいいんだろうっていう試行錯誤の連続ですね。
までやってきたバンド、もちろん Cloud Nineの時から考えても一番大変な作業をしています。ハードルが高すぎて(笑)。もちろん時間をかければいい曲ができるってわけではないですけど、世の中に出ている新しいロックバンドがあまりにもクオリティが高すぎて、こいつらに勝つにはどういう曲を作ったらいいんだろうって。僕らの得意なところだけやってたんじゃ、ぜんぜん勝ち目がないんですよ。今 、Cloud Nineや第3期までのTSPと同じ方法論でやってたら、ぜったいに勝てない。だから、どうしたらいいんだろうっていう試行錯誤の連続ですね。
【TOKI】 最初のライブに出る前はたぶん吐きそうになるでしょうね(笑)。44MAGNUMの時もそうだったんですけど、ワンマンに出る前は、ファンが受け入れてくれるかどうかっていうことがすごいプレッシャーになっちゃって、本番直前出るまで超吐きそうでした。余裕しゃくしゃくに見えるでしょうけど、必死ですからね実際は(笑)。ハードルはありますけど、44MAGNUMで培ってきた部分があるので、そこをTSPで活かせればいいかなと思っています。逆にヘンなものを背負いすぎて空回りをするよりも、俺は俺で行こうかなって今は思ってて。変に斜にも構えず、素直にやろうかなと思って。
-新型TSPを作る過程で考えて来たこと、思ってきたことを聞かせてください。
【Shu】 TOKIは、プレイ的なところはあまり心配してないんです。そこを心配するぐらいのプレイだったら採用してないし(笑)。一回 TSPの曲をスタジオで合わせた時にちゃんと弾けてたんで、まだなんも言ってないです。相当難しいですよ、TSPのベースは。それでも完璧にやってたんで、あ、全然問題ないなって。
【HINA】 私は元々 TOKIのパフォーマンスが好きで。ステージングが。
【Shu】 今は全然動かないらしいじゃん。
【TOKI】 あ、ちょっと変わったかも。動かなくなった。動かなくなったっていうよりも、動くよりももっと極みの部分でね。 TAIJIさんって動かないじゃん。あそこの領域がちょっと見えてきたっていうか。前は超暴れてたでしょ。弾いてなかったもん(笑)。若い頃って、プレイよりもインパクトで勝負するような気がするんだけど、年をとるごとに、グルーヴを感じてこないと楽しくなくなってくるんですよ、ベースって。
【Shu】 プレイ面で一番頭を悩ましてるのはKouzyだと思うんですよ。どういう風にアプローチするか。彼は、経験も豊富でスタイルも確立しているだけに、どうやってTSPの音楽に融合しようか、自分自身で一番悩んでると思いますよ。いろいろな試行錯誤を自分でしているし。
【Kouzy】 なぜここに入ろうかと思ったかというと、 Shuくんに「ゼロからスタートできるか?」と言われたんです。これがなかったら、きっと僕は入ってない。これを Shuくんに言ってもらった。これはすごい賭けですよ。
【Shu】 僕が言ったのはゼロからやる気があるか、ってこと。これまでのTSPっていうバンドに入るんじゃなく、TAIJIの名前とか関係なく、ゼロからバンドをやる気があるか、と。逆に言うとすごくデメリットなわけですよ。お客さんがゼロからでもやる気があるか、っていう意味ですから。
【TOKI】 結構そこは俺も同じで、新しいバンドをやろうっていう気でいましたね。そこがやっぱ魅力というか。
【Kouzy】 ゼロからスタートですよね。カッコよかったのは「お客さんが、ゼロでもできるか?」と言ってたこと。その時に僕が言ったのは、いいんじゃないですか、ゼロ。もう最高だなと。で、最後に言われたのが「このメンバーで心中できるか?」と。心中って言葉は、なれ合いじゃないんですよ。それが今の俺のバンドイズムです。
【Shu】 バンドって、嫌だったら、すぐに辞めるとか、うまく行ってなかったら他もやるとか、ありがちな話じゃないですか。そういうのが非常に嫌でね。一緒の船に乗って出航したら、沈没する時は全員で沈没だぞって。みんなで船を出港させよう。最初は手漕ぎ船でいいじゃないですか。でも、島に着くたびに…それがライヴや音源ですけど、そのたびに船をデカくしていって、最後には豪華客船になろうよって。船が出港したからには、嫌なことがあったから、納得いかないからって降りることはできない。降りるってことは海に飛び込むことだから、それは音楽を辞めるぐらいの気持ちで船に乗れよってことです。で、おれはあくまでも後ろで舵はとりますけど、常に前にいるのは、HINAであり、Kouzyであり、TOKIだよって。もうそういう時代なのでね。俺が俺がっていうのは基本的にないんです。
【HINA】 第3期で you+さんが抜けた後に、サポートの方が入っていただいたんですが、やっぱり思うように活動ができなくて、2か月に一回のライブとかになって。その時に、私も結構サポートの話とかいただいたんですよ。それで、うーん私もやっていいのかな、って悩んで。もちろんスケジュールは全然埋まってないんですよ。
そういう話を Shuさんにしたら、いやもうあり得ない、TSPは掛け持ちをしてるようでは進められないから、ってことで、二人で真剣に考え始めた。このままだと活動もしていけないし、伝えたいことも伝えられない、音も出せない、ライブもできない、どうするんだ、ってことを真剣に考え始めて。新しくなるんだったら、サポートとかそういうのじゃなくて、このバンドで心中できるような覚悟がある奴じゃないともうダメだと。それを HINAにもわかって欲しい、と言われて、サポートも断って。気持ちが一つじゃないと動かせないっていうか、その意気込みはハンパじゃないと思うんですよね。
【Kouzy】 普通に考えて、ライブを何十本もやって、曲作っていってたらサポートなんかできないですからね(笑)。
【Shu】 あくまでも、今のTSPの状態で言っているんですが、本体が何も固まってないのに、色々やるのは今のTSPではムリだと。いま、ガンバっているバンドをみても、ホント、そう思うんですよ。それがほんとにわかった1年だったなという気はしますね。そして、これから各自の努力次第です。やっぱり前のTSPが良かったねって言われて終わるのか、それともすごいバンドになったなって言われるのか。4人の持って行き方次第じゃないかな。
-最後に直近の北海道のライブにつ
いて、意気込みを聞かせてください。
いて、意気込みを聞かせてください。
【Kouzy】 TSPのボーカルとして北海道に行きます。北海道の方々が、もしかしたら僕よりもTSPを知っているかもしれないです。でも今回ステージに上がるのは僕なので、そのステージを新たに一緒に作っていきませんか? ここから始まります。そこから僕は初めてのスタートです。ここからTSPを始めましょう。
【HINA】 北海道で新型TSPの開始になるんですけど、私はオリジナル・メンバーなので、今のメンバーでどうなるのかなっていう楽しみが今まで以上にあって、パワフルで攻撃的なステージをこのTSPで、もっと前よりもすごいステージを届けたいなって思っています。北海道は 2 Daysなので、2日間でもいいから進歩したいと。2 Daysだけど前の日とは違うライブをやりたいというのがあるので期待して欲しいです。今までと何が違うんだろうという目で見てもらってもいいし、新しいバンドとして見てもらってもいい。意気込みは全員ハンパじゃないんで、期待して欲しいなと思います!
【TOKI】 スープカレー食べたいっすね・・・
スープカレー食べて、スープカレーよりもアツいライブを見せたいと思います。
【Kouzy】 アツいライブをやって辛口のコメントもらうってことか。
Interviewer:大泉 繁
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最後に TSPらしい(?)締めで終了したインタビュー。この1時間に渡ったインタビューで、今後の活動、そしてバンドとしての立ち位置、考え方をアツく語ってくれたメンバー。まさに今、メンバー全員が新型TSPを作っている過程である。彼らの想いが、どのような姿に昇華していくのか、この目で追い続けたいと思う。新型TSPは、今が始まりの時である。その想いと姿をぜひライヴで感じて欲しい。
<Live Information>
“Tribal Scream of Phoenix 2013-2014”
2013年12月15日(日)札幌PIGSTY
2013年12月16日(月)札幌DUCE
2014年 2月15日(土)厚木Thunder Snake
2014年 2月21日(金)名古屋・今池3STAR
2014年 2月22日(土)大阪・心斎橋FANJ twice
チケット予約はこちら
http://www.tsprock.jp/form/ticket/
<TSP Profile>
2009 年、TAIJI と、長年の盟友であるShu が、CLOUD NINE 以降再びタッグを組み結成したバンド。ライヴ、イヴェント出演、レコーディングと精力的に活動を続けていたが、2011 年、TAIJI の急逝により、一時は活動を休止する。その後、メンバー間で話し合いを重ね、TSP を継続することを決意。新メンバーを迎え、TAIJI を含む5人のメンバーで活動を再開することを発表した。
「TAIJI が作った最後のバンド、TSP を、TAIJI の名に恥じないバンドにする」。
2011 年、TAIJI と共に行なっていたレコーディングを再開。TAIJI の残した最後のサウンドをファースト・フル・アルバムとして完成させ、遺作を発表した。あれから2年。活動を続けながら暗中模索してきたメンバーは、TSP の未来に、一つの結論を出した。
2013 年、ヴォーカリストとベーシストの交代劇により、TSP は“ 新型TSP” として、再び攻撃を開始する。
<メンバー>
TAIJI / タイジ / b
X~ラウドネスという日本のトップ・バンドに君臨したスーパー・プレイヤー。D.T.R、クラウド・ナイン、TAIJI with HEAVEN’S
と、多くのバンドを結成し続けてきた音楽活動の中からは、たくさんの原石が発掘された。
Shu / シュウ / g
2000 年、TAIJI とともにクラウド・ナインを結成してから、TAIJI にもっとも近いミュージシャンであり、親友としてともに活動を継続。個性的なギター・サウンドもさることな
がら、コンポーザーとしても類稀な才能を持つ。
Kouzy / コージー / vo
ex サイクルのヴォーカリスト。類を見ない歌声は、規格外な声量と相まって聴くものの耳を捉える。現役プロレスラーという異色のプロフィールを持つ。
姫那-hina- / ヒナ / ds
華奢な風貌からは想像できない、パワフルでハデなプレイが映える女性ドラマー。確かな歌唱力でヴォーカリストとしても活躍。
TOKI / トキ/ b
44MAGNUMのサポートとしても活躍したベーシスト。確固たる信念を持ち、新型TSP に新しい血を勢いよく注いでいる。
TSP オフィシャルサイト