師走の新宿をV系ファンが埋め尽くした。6日の午後16時30分。新宿アルタ前に轟音が鳴り響いた。薄暗いステージの上に立っているのは漆黒の衣裳をまとった2人。「彩冷える」のヴォーカル・葵と「メガマソ」のギター・涼平だ。バンドも違えばレコード会社も違う2人が奏でる音は、とても即席のユニットとは思えないハーモニーを奏でていた。
彩冷えるといえば人気急上昇中だった今年8月に、葵を残して残りの4人のメンバーが脱退し、ヴィジュアル界に激震を走らせたバンド。そのニュースは各サイトのトップニュースで紹介されたほどだった。対してメガマソは涼平が彩冷えるを脱退した後に結成。独自の世界観+誰もが聴きやすいキャッチーな楽曲と、Vo.の類まれなる歌唱力が話題のバンドである。音楽性の違いから2006年8月に涼平が彩冷えるを脱退。惜しまれつつも別々の道を歩き始め、ファンの間ではもう2度と同じステージに立つことはないと思われていた奇跡の組み合わせは、またしてもヴィジュアルシーンに衝撃を与えた。
4年以上の時を超えて再び交わった2人。ユニット名は「葵&涼平 incl. アヤビエメガマソ」と発表されたが、時間が埋めた溝は音楽的な絆をより強固なものへと進化させていた。
ステージ上からアルタ前を埋め尽くしたファンにあいさつをすると、早速披露したのは2人が一緒に彩冷えるとして活動していた当時の代表曲の一つ「景(けい)」。この日のサプライズイベントは内容を一切告知せず、両者のHPを通じて時間と場所が明かされていただけ。それでもアルタ前は奇跡の復活を願い続けてきた5000人ものファンが詰めかた。そんな中、高揚したファンの顔を確認するとおもむろに次の曲へ。この日リリースが正式発表された1stシングル「モノクローム」(来年2月16日発売)だ。涼平が奏でるメロディアスなギターに乗せて葵の甘い歌声が新宿の夜を彩った。
会場ではイベントを記念した限定CDの無料配布があったが、用意していた1000枚のCDは一瞬でなくなり、手に入れられなかったファンが押し寄せてアルタ前は一時パニック寸前の騒動となった。さらに12月24日に行われる葵のワンマンライブへ涼平がゲスト参加することも併せて発表された。年内での活動休止が発表されたばかりの彩冷えるにとって、涼平の来場は彩冷えるの歴史の最後を彩る素敵なクリスマスプレゼントとなりそうだ。
「モノクローム」は徳間ジャパンとエイベックスとの共同制作によるコラボレーションシングルとして、それぞれ初回盤と通常盤の2形態、計4形態でのリリースとなる予定。また、涼平が在籍する「メガマソ」も同日の2月16日にセカンドアルバムがリリースされる。来年はこの二人に注目せずにはいられない!!
【葵】
他愛もない僕と涼平君の会話の中から生まれた今回のユニット。別々の道を歩み始めてからふたりが得たものを音にして、もう一度重ねてみたらどんな景色が見えるのか。僕らの思いつきにたくさんのスタッフに無理を言って実現したプロジェクト。「モノクローム」素敵な作品が出来上がりました。今日のサプライズのような一瞬の煌めきを、みんなにプレゼントできたらいいな。普段の「葵」とはまったく違った表情と歌を魅せれたらと思っています。
【涼平】
今回、4年ぶりに葵くんと一緒に音楽をやるということで、普段のバンド活動とは全く違う新しい感覚を自分自身に感じています。この二人だから出来るロックのアプローチというものを推し進めて、美しい景色を創るつもりです。そして、新しいビジュアル系としての形も作りたいと考えています。これを機に初めて僕たちのことを知る方々にも僕らの鮮烈な音楽を届けていくので楽しみにしていてください。
特設HP