URCHIN FARM、ワンマンライブで 1年間の集大成を笑顔の観客に届ける!

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2017年5月2日、SHIBUYA DESEOにて、「CALENDER FILMS FINAL 〜Do you hear this sound?〜 -URCHIN FARM ワンマンライブ&短編映画『CALENDER FILMS』上映会-」が開催された。この日は特別な日。URCHIN FARMは 2016年6月から 1年間に渡り毎月新曲をリリース、リスナーとの時間を共有し、アルバム「CALENDER FILMS」を完成させた。この日はその全貌を体験できるワンマンライブと短編映画の上映会。期待に胸を膨らませ、満員の観客が DESEOに集まった。

初めに短編映画「CALENDER FILMS」の上映が始まる。「CALENDER FILMS」は全編が YouTubeにて公開されている。URCHIN FARMと映像が絶妙に絡み合う、静かで切ないこの作品をぜひ見て欲しい。視聴はこちらから

映画本編の上映が終わると、この日のスペシャル、出演者による舞台挨拶へ。司会は LILYのベーシスト・橋倉祐介。そして登場した出演者に満場の拍手が贈られる。登壇したのは榊原有佑監督、出演者の山口真季、木村文哉、夕帆、横田ひかる、龍健太。映画にまつわる様々な質問に答えていく。「MVや主題歌で使うのではなく、CALENDER FILMSという企画とコラボした」「URCHIN FARMの皆さんの人となり、考え方、企画に込めた想いをお聞きして、それをストーリーにしようと作ってきました」と語る榊原監督。緊張した橋倉の必死の質問に出演者が答えていく。山口真季は「いきなり主演ということで不安もありました。私の中でも精いっぱい伝えられたらなと思ってやってきたので、感謝の気持ちでいっぱいです」と語る。そして、ピアノを弾くシーンのために、MALから届いた楽曲を必死に耳コピしたという木村文哉、映像中、実は未発表曲が使われていると振られて答える龍健太だったが、それは私がお願いしたとツッコむ榊原監督、アイノウタ大好きです、歌えます!と最初の一節を歌った横田ひかる、メンバー皆さんとても優しいです、特に壮太さんが笑顔で優しいトゲを刺してくれて、と語る夕帆。そして緊張したままの橋倉が最後に、監督と主演の 2人からメッセージを聞く。

山口真季「この映画から、当たり前になっていることをもっと大切に感じて毎日生きていこう、というメッセージをもらいました。本当にありがとうございました」
木村文哉「1年通して同じ役ができるという貴重な経験をすることができました。失う前に気付けないというセリフがありますが、気付いて立ち直って、成長してこれたと思っています」
榊原監督「CALENDER FILMSという企画に至った想いを映画化してきました。上映できたことで、皆さんに奥行きを感じてもらえるものになったらいいなと思っています」

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そして最後まで緊張の解けない橋倉が舞台挨拶を締め、監督、出演者に会場からあたたかな拍手が贈られた。会場がライブ用に変更され、いよいよ URCHIN FARMのワンマンライブが始まる。会場はほとんどスペースのない超満員状態。それだけ期待が高まっていたということだろう。

会場が暗転、SEが始まった。拍手で待ちわびる観客。メンバーが登場すると大歓声でその気持ちを伝える会場。MALのピアノから始まるイントロに演奏を乗せて Vo.壮太が叫ぶ。

「お待たせしました、こんばんはー!! URCHIN FARMです!」

1曲目は「グッバイセプテンバー」。Gt.モロは会場に向かって笑顔で拍手、会場も笑顔、笑顔。メンバーと会場の想いが一気にシンクロを始めた。ここで思った。ライブなので当然音量は大きい。でもなんだろう、URCHIN FARMのライブは「優しい」のだ。それがメンバーと会場が作り出す空気なのだろう。Dr.智基のタイトなドラミングがドライブを作り、Ba.SHITTYのベースがリズムを重ね、Gt.モロがリフとバッキングで楽曲を形作り、サポートの Key.MALが絶妙なトーンとタイミングで楽曲にアクセントをつける。Vo.壮太が優しく、力強くメッセージを届ける。そしてこの日は LILYの Vo.Gt.福島拓也もサポート、豪華なメンバーでCALENDER FILMS」を再現する。2曲目は「MONKEY MUSIC」。来たぞアーチンのドライブソング! この曲のドライブ感は本当にスゴイ。MALはピアノを傾けて弾き、会場は「オーイエ!」に一斉に手を上げ、会場の熱はどんどん高まっていく。

「改めましてこんばんは、URCHIN FARMです!」
「ファイナルにお越しくださいました皆さん、本当にありがとうございます!」

「さぁ、来た! ついに来ましたね!」

まだ序盤だが、早くもモロのMCが炸裂。まずは「今日は何の日」。郵便貯金の日、歯科医師の日、緑茶の日とのこと。「緑茶のようにホッとする曲だったり」「(会場)ああー」「歯科医師みたいにドキドキする曲だったり」「(会場)(笑)」「というのを貯金して帰る」「(会場)ああー&(笑)」と、ほっこりしたインターバルをはさみ、再度曲に戻る。

「今日を忘れられない一日にしたいやつ、どれだけいますか!!」

と煽ると会場は即座に熱気を取り戻し、「あさきゆめみし」へ。スティックを上げてカウントする智基。彼のドラミングは本当に気持ちいい。しかもイケメン。そしてほんのワンフレーズではあるが、曲中入る MALのピアノがひと際映える。続いて「赤いストラトとブルースドライバー」。モロのリフが印象的なミドルテンポチューン。サビ前のフレーズは、ライブだと一段とグッとくる空気を作り出していた。そして壮太が会場に想いを伝える。

「今日は拓也も参加してくれていて、ほんとにスペシャルな一日になってます」
「毎月配信するということをやってみて、みんなとやりとりをしながら近い距離で曲を作ったり、感想を共有したりしてすごく楽しかった。でも、毎月絶対出さなきゃいけないっていうプレッシャーはありました」
「ずっとアーチンってどういうバンドとか、こういう風にやりたいとか、こんなに1年間通して考える機会って実はあんまりなくて、そういうこともできたし」
「でも何よりやり遂げた、みんなに約束したことがアーチンとしてやり遂げられた、っていうのが本当に嬉しかった。本当に応援してくれた皆さんのおかげです」

ライブは続く。冬の曲「ホワイトベル」、MALのピアノが本当に心に沁みる。壮太の渾身の歌に、会場は意識を一点に合わせて聴き入っていた。続いてモロの煽りから、一転してポップなクリスマスソング「ローストチキンに乗って」へ。タンバリンを手に壮太のポップでファンキーなヴォーカルに、会場はキメで声を合わせてジャンプ! 楽しい。これは楽しい。会場全体で楽しんだ後は、モロがこれまでを振り返って想いを伝える。

「『ローストチキンに乗って』は物議を醸したよね」
「配信疲れでついにタイトルがイカれてきたな、とか」

「MONKEY MUSICは、とにかく踊る、みんなで楽しくライブやりたいなと思って作りました。ここから 1年間がスタートしました」
「次が『飛んで君入る夏の僕』で、みんなにいい!って言われて、すごく嬉しかった。ここで、こんなに聞いてもらえるんだって思った」

「そして絶対出したかった曲が『スノードロップ』。活動休止前の最後のライブで、笑ってるけど気まずそうな顔をみんなにさせちゃって。だから再開した時に、いの一番にそれを取り戻さないと、と思って書いた曲で、それを出せたっていうことが感激です」

「そこから合宿?」「そう、花火とかスイカ割りやるって聞いてたんだけど」「一切ないストイックな合宿だったね。一切外に出なかったし」
「URCHIN FARMは泣いて笑って、っていうバンドだと思ってて、それをうまく曲に表すことができたのが『アイノウタ』でした」

「昨日、最後の曲が配信できて、みんなもこの 1年色々あったと思うし、俺達も同じように過ごして来て、その想いを今日は」

「ドドドン!と」

「この音、合ってたかな? 今の」
「みんなと楽しい一日を過ごそうと思っているので、皆さん楽しんで帰ってください!」

そして静かな空気で始まった「ピース」、コーラスが美しい。一心に聴き入る会場。続けて「スノードロップ」。彼らが絶対に伝えたいと語っていた想い。叫ぶように熱唱する壮太の姿に、その想いは確実に伝わったことだろう。そして、MALのピアノをバックにモロが語り掛ける。

「5/1に最後の曲を出して、みんなが終わっちゃうの寂しいな、って言ってくれて。あ、CALENDER FILMSは、色んな人のものになったんだなと思えて、その時、俺達がやりたかったことはこういうことだったんだなって。みんなに泣いてもらって笑ってもらって、そのために俺達はいる、それが明確になって」
「CALENDER FILMSは終わるけど、俺達は何も変わらない。これからも同じような感覚で待っててもらって、楽しんでもらいたいと思います」
「どうなるかなと思ったけど、すごいいい経験を 1年間させてもらいました。本当にありがとうございました!」

彼らの想いをいっぱいに詰め、「みんな」に贈る「calender films」。会場中に一つの想いが充満し、切なくあたたかな空間が広がっていた。再度、モロが観客に伝える。

「僕らは今日をすごく大事に考えてきました。映画もやれて、たくさんの方に関わっていただいて、本当にありがたいなと思った。ありがとうって有り難いってことでしょ? あまりないってことでしょ? 今日こんなにありがとうって思えるのは、こんな幸せなことはないと思ってます」
(筆者注:「有り難い」の反語は「当たり前」である。他説あり)

「これからも楽しませたり、泣かせたり、笑わせたりするバンドでいたいなと思っていますので、これからもよろしくお願いします! 楽しんで帰ってください!!」

終盤は「君といた春」でスタート。じっくりと耳を傾け、じっとステージを見つめる会場。曲が終わるとリズムと共に会場との掛け合いを楽しむ。続いて「アイノウタ」。手拍子、そしてジャンプで楽しむ会場。壮太、モロ、SHITTY、智基、MAL、拓也。全員の会場への想い溢れる表情がとにかくいい。その姿を見て、彼らは本当に「みんな」に力をもらっているんだなと感じた。ラスト、熱気をそのままに「飛んで君入る夏の僕」。アップテンポな楽曲で会場と共に楽しむメンバー。最後の曲を楽しみながら、その表情には幸せな一日を作ってくれた、共有できた観客への感謝の思いが溢れていた。そしてライブ後、今後の予定が発表された。そう、URCHIN FARMは走り続ける。

・「CALENDER FILMS」CDを制作
・10/04 ミニアルバムリリース
・11/19 ツアーファイナル SHIBUYA TSUTAYA O-WESTワンマン

1年間に渡る企画「CALENDER FILMS」はついに終演を迎えた。この 1年間の想いを音楽で、演奏で、表情で、言葉で観客に伝えた URCHIN FARM。それでも伝えきれなかった想いもあるだろう。それだけ多くの経験をこの 1年でしてきたに違いない。それは観客も同じだっただろう。たくさんのことを共有して集まったメンバーと観客だからこそ作り出せる空気、想いがここにはあった。その場にいられたことは筆者にとっても特別なことであった。

この日筆者に刺さった言葉は「約束したことをやり遂げることができた」だった。やり遂げたこと自体も大きなことだが、「約束を果たせた」ことが彼らの中では大きかっただろう。それができたからこそ、この日胸を張って「みんな」と共に楽しみ、さらに前に進むぞという自信に、明らかにつながったはずである。「CALENDER FILMS」は完遂された。この経験を糧に URCHIN FARMは進み続ける。その姿に目を届かせて欲しい。

そう、既に次の彼らは始まっているのだ。

Text: 大泉 繁
Photo: nishinaga “saicho” isao

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CALENDER FILMS FINAL 〜Do you hear this sound?〜
-URCHIN FARM ワンマンライブ&短編映画『CALENDER FILMS』上映会-
2017年5月2日(火)SHIBUYA DESEO
01. グッバイセプテンバー
02. MONKEY MUSIC
03. あさきゆめみし
04. 赤いストラトとブルースドライバー
05. ホワイトベル
06. ローストチキンに乗って
07. ピース
08. スノードロップ
09. calender films
10. 君といた春
11. アイノウタ
12. 飛んで君入る夏の僕

『CALENDER FILMS』レビューインデックス


URCHIN FARM『CALENDER FILMS』特設サイト
http://newscript-inc.com/calenderfilms/
URCHIN FARM オフィシャルサイト
http://www.urchinfarm.info/

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