今年2月に活動を休止した Caramelの Vo./Gt. 南るみが、明日 9月30日、六本木morph-tokyoにてレコ発ライブを開催、これまでリリースのお知らせ、楽曲紹介を掲載してきた。今回は南るみが Caramel時代の葛藤、ソロアーティストへの道、現在の心境などを語った長澤智典氏によるインタヴューを掲載、明日のレコ発ライブに向け、彼女の想いを正面から受け止めて欲しい。
過去にしがみつく必要はない。しかし、過去を消す必要もない。世の中の誰もが、過去の全てを経験した結果、現在の自分になっているからだ。これから南るみは、新しい彼女の過去を作っていく。彼女の想いを知り、同じ時間を共有すれば、あなたにも、るみと共通の記憶が作られていくのである。
■南るみ インタヴュー (長澤智典)
―ソロとして活動を始めようと決めたのは,いつ頃のことでした?
2016年12月31日がCaramelとして最後のライブになったんですけど、そのときは(契約の関係から)楽曲がもう使えないと理解しつつ、3人ではCaramelを続けようと思ってたし、みんなの前からお別れすることも、その時点ではまだ決まっていませんでした。
―でも、2月1日にCaramelは活動休止を発表しました。
2月1日に活動休止を発表するそのギリギリまで、「このままCaramelを続けよう」「楽曲がなくても活動を継続しよう」と考えていたのも事実です。その時点では、ソロで活動しようとは考えてもいませんでした。
―結果、3人それぞれ別々の道を歩み始めました。るみさん自身、音楽を続ける気持ちは強く持っていました?
小さい頃からクラシックを含め、ずーっと音楽に触れ続けていたので、どういう形でも音楽に関わり続けたい気持ちはありました。でも、ステージで歌うことがちょっとしんどいなと思う気持ちもあって、5月に初ライブを演ることだけは決めましたが、その時点でもまだソロとして活動を続けていくのかは決めていませんでした。
じつはソロライブを行うと発表して以降、いろんなところから出演のお誘いもありました。その時点では「まだソロとしてやっていく気持ちが固まっていない」「今はまだ継続してステージに立とうとは思えてない」とお断わりしていて、まずは1本だけライブを行おうという気持ちでした。
―なぜ、1本のみライブを演ろうと決めたのでしょうか?
Caramelとしての活動がなくなって以降、毎日何を目標に生活していけば良いのかわからなくなっていました。私の場合、何か目標がないと日々の生活に張りが持てないこともあって、あの当時は「とりあえず1本だけライブを演ってみよう」という気持ちで出演を決めました。だから、いろんなお話も、最初の頃は断っていたんです。
でも、ライブへ向かって準備を進めてくうちに「やっぱり私は、ライブに向かった日々を送ってないと毎日を充実させられない」と気づき、ライブのオファーをくれていた関係者の方たちにも、「やっぱり音楽活動を続けます。ライブに出たいです」とこちらから連絡を取り始め、そこからソロとして歩もうと決めました。
―今は、ソロで進もうという意志もしっかり固まっているわけだ。
はい。Caramelのメンバーとは今でも連絡を取っていて、たまに会うし、それぞれがやっている活動のことをお互いに応援しあっています。もちろん、「いつかまたCaramelに戻りたいね」という話もしています。ただ、今はまだその時期ではないのも事実。それに、Caramelとして活動をしてきた中、それぞれが感覚的にいろんな面で麻痺していたんですね。
―どんな風に麻痺していたのでしょうか?
ライブ本数が多過ぎることから気持ちに余裕が無くなり、みんながみんな自分を見失っていました。だからこそ今は、それぞれCaramelとは違う行動をすることが必要な時期なんです。あの頃は、正直「つらい」気持ちが8割で、楽しかったことのほうが少なかったのに、今は楽しかった想い出ばかりが甦ってくるから、メンバーと会っても、そういう楽しかった想い出話ばかりをしています。やってるときは、本当に「しんどい、しんどい」とばかり言ってたのに(笑)。
―それでも、今はCaramelじゃない活動をそれぞれが行うべき時期だと。
あの当時は、メンバー全員何かきっかけがないと今の状況を変えられないのはわかっていたんです。あのまま不満を抱えながらやり続けてても、遅かれ早かれ何処かのタイミングで一度活動に休みを入れ、それぞれが考える時間を作っていたと思います。
―Caramel時代は、何年も余裕がないまま、目の前のことを乗り越えるためにと走り続けていましたもんね。
ホントにそうでした。毎月十数本もライブがあって、空いてる日は全部バイトを入れての毎日。あの頃は、「私、一体何をやってるんだろう?」という想いも正直ありました。
―こうやって自分を見つめ返す時間を設けたことで、今は、改めて自分の気持ちも再確認していれるんだろうからね。
その経験は大きかったです。以前は、何処か甘えもあったことから、作詞や作曲から逃げてた部分もありました。今は、一人で活動をしているから全部自分でやらざるを得ない。でも、実際に「やろう」と思えば全部出来ることなんです。
あの頃は、いろんなことを大人のせいにしていろいろ逃げていた面もありました。もう今は誰かのせいには出来ないし、自分でやるしかない。そしたら同時に、「やんなきゃいけなくなったら、やるんだな」と思えている自分もいます。
―当時は誰かのせいにすることで、自分のモチベーションを上げていたし、それが必要だったわけでしょ。
そうでした。でも今は「全部自分でやる」と決めたからこそ、すべての物事を自分の手で行っています。
Caramelの活動を止め、ステージに立つかどうか迷っていた頃も、音楽は続けていきたい、曲は作り続けたいという気持ちは持っていたので、パソコンを使って曲制作の勉強を始めていました。あの頃は、CDを出す意識も予定もなかったけど、今回CDを出すときに、あの頃に学んだことがいっぱい役立っていて、本当に今は歩みを止めないでいて良かったなと思っています。
―るみさんは今、自分の気持ちと向き合いながら生まれた想いを楽曲にしています。歌にすることで自分の気持ちを整理することも必要だったんじゃないですか?
そうなんです。今、形にしている曲たちには想いをストレートに書き過ぎてるかなとも思うんですけど。でも、今まで応援し続けてくれた人たちの存在や気持ちをまったく無しにして進むことは出来なかった。きっとみんなも知りたかった想いだと思うし、誰かの応援に応えるという意味でも、これくらい正直に書かなきゃ駄目だなと思いました。
ただ、歌詞を書いてると、強がってる自分がつい出てしまい、「なんで私、こんなに自分を良い風に書いちゃってるんだろう」「私、また強がってるわ」と思うこともあります。そう思うたびに自分の変なプライドを折って折って歌詞を書き続けていました。
―結果、とても赤裸々な想いを記した歌ばかりが今は誕生しています。
自分で歌詞を書きながら涙が出てきちゃったり。なかなか歌詞を書けなくて、「今日もう限界」って寝たら、夢の中にまで歌詞制作している姿が出てきたり。夢の中で起きた有り得ないことに対しても、もしかしたらそういうことを自分で望んでるのかな?と思ったり。そんな現実か夢かわかんなくなる中から生まれた曲たちばかりなんです。
―5月に行った初ライブに向けて書いた曲もいろいろあったわけでしょ。
1stミニアルバム『そのうちなんてありえない』にも収録している『価値』は、「私は歌い続けるって表明しなきゃ」という想いを胸に、初ライブへ向けて書いた曲です。
―まずその気持ちを形にしないことには、次へ進んでいけなかったわけだ。
そうなんですよね。今回のミニアルバムを出すことに関しても、Caramelでは一切音源を出さずに活動してきたせいか、「ソロとして活動を始めたばかりでいきなり音源を出すって、本当に良いのかな?」と迷ったり。これまで歩んできた道が道だったから、そんなことまで考えてしまいました(笑)。
―活動に合わせ音源を出すのって、当たり前のことですからね。
その当たり前がCaramelのときにはなかったんで。正直、音源が残ってないことで自分もつらかったし、お客さんも聴いて思い出せるものがないんですよね。なのに、Caramelのやり方を無理矢理引き継ぐ必要はないなと思えたからこそ、今回はすぐ音源も作ろうと思いました。
―まさに、今のるみさんらしい想いの見えてくる作品集になりましたね。
けっしてCaramelを引きずっているわけじゃないですけど、いい意味で今の自分を認めて欲しいなと思ってて。もちろん中には、「Caramelのほうが良かったな」と思う人もたくさんいるだろうなと想像はしてます。だけどCaramelは、あの3人だからこそ生まれる音楽やライブ空間なわけで、それを一人で再現するのは絶対に無理なこと。それよりも、今の自分の良さをいっぱい出せる作品として作りました。でも、攻撃的なことや赤裸々な歌詞を書くのも、基本的にはCaramel時代のルミと何も変わってないんですよね。
―1stミニアルバム『そのうちなんてありえない』は、会場限定盤という形で発売します。
音楽をやってる人としては、CDがお店に並ぶことに対しての憧れはあります。でも、「CDを出さない」という斜め上の方法を何年もやってきたせいか、「CDを出す意味」から考えてる自分がいました。確かにCDを出す以上、流通に乗せるのは当たり前の考え方ですけど、まずは「本当に欲しい人へ直接音楽を届けたい」と私は思いました。そのために、これから地方公演も含んだライブツアーを始めます。もちろん行けない地域も多いし、ライブに足を運べないけどCDが欲しい人もいると思います。そういう人には、通販を通してお届けします。
通販なら、直接は会えないけど、自分で書いた手紙を入れて出せば、そこで繋がりを感じることが出来るなと思って。それに、まだ今の私は「お店にCDを置いてるから買ってください」という形は偉そうなスタイルであり、今の私がやることではないなとも思っています。
―これからも地方公演は増やしていこうという意識なのでしょうか?
「来なよ」と言ってくれる各地のライブハウスの方や、「一緒にツアーに行こう」と誘ってくれる方もいるように、なんとかして私も各地へ行かなきゃとは思っています。ただ、正直金銭面での事情もあり、すべての場所にバンドスタイルで行くのは現状難しいこと。なので今回のツアーでは、弾き語りのアコースティックなスタイルで行うライブもあります。そういう場所も、次はバンドで行くと言えるように、そこは毎回の目標にしていきたいなと思っています。
今は1本1本に集中しながら、その1本1本をさらに大切にしていきたいなと思ってて、ライブの本数も少し絞っています。ただ、地方の方々も含め直接会わないと忘れられちゃう怖さもあるから、なるべく各地でライブを演りたい気持ちもあるんですけどね。
―最後に、改めて1stミニアルバム『そのうちなんてありえない』についてひと言お願いします。
1曲1曲聴くたびに何故かわからないけど涙が出てくるんですよ。それだけ想いを詰め込んだ作品になりました。歌詞にしても、いろんな思いをみんなにわかって欲しいと思って書いたので、「CDが出来たぁ、やったー!!!!!」という気持ちよりも、今は「みんなこれを聞いてどう思うのかな?」「みんな聴いて喜んでくれるかな?」と、ちょっと緊張してるかもしれない。
Text: 長澤智典
南るみ 1st ミニアルバム
『そのうちなんてありえない』
1.軌跡の行方
2.今日の自分を愛してあげよう
3.リンク
4.嘲笑返し
5.価値
5曲入り / ¥1,500
[初回限定盤] 5曲入り(CD+DVD+ブックレット) / ¥3,000
2017.09.30 会場限定にて先行リリース!
2017.10.18 南るみオフィシャルショップにて通販開始!
★LIVE情報★
1st ミニアルバム レコ発ライブ開催決定!
『そのうちなんてありえない』
2017年9月30日(土)
六本木morph tokyo
open 18:00 / start 18:30
adv. ¥3,000 / door ¥3,500 (+1drink \600)
w/ 初音, yucat
2017年10月9日(月・祝)『HUG ROCK FESTIVAL 2017 体育の日』
2017年10月13日(金)渋谷eggman
2017年10月16日(月)大阪 アメリカ村Clapper
2017年10月17日(火)名古屋 ell.SIZE
2017年10月19日(木)下北沢440
2017年10月29日(日)六本木morph tokyo
2017年10月31日(火)福岡Queblick
2017年11月1日(水)広島live juke
2017年12月4日(月)大阪 アメリカ村Clapper
2017年12月5日(火)名古屋 大須TOYS
南るみ オフィシャルサイト
https://minamirumi.com/
南るみ Twitter
https://twitter.com/rumi_mame