LM.C、15周年ライブレポート! ハロウィンライブの告知も!

 一瞬のきらめきは刹那的であるからこそ美しい。しかし、幾つもの貴重な瞬間を繋げていくことにより、何時いかなる場合でもしかと輝き続けるものに対して、美しさだけではなく深い尊さまでをも感じてしまうのは…その根底にたゆまぬ英気と揺るがぬ志が存在しているから、なのではないだろうか。

〈僕らの物語どんな宝石よりも輝いてる〉

 このたび、9月25日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催されたLM.Cのワンマン公演[15th Anniversary Live 左耳のピアス。]は、彼らにとって昨年10月から続いてきた15周年イヤーの最後を締めくくる大切な場となった。約2時間にわたり、ここまでの日々を集約したかのような神セトリとも言うべき新旧の名曲たちが集ったオーディエンスに向けて供されていった中、今宵の最後をしめくくる重要な役割を果たしたのは「PUNKY ❤ HEART」。

 これまでのライヴでも常にそうであったように、ヴォーカリスト・mayaは「俺たちの志!」と高らかに叫んでからこの曲を歌い始めることになり、ギタリスト・Aijiが響かせた躍動感あふれる音を背景に、ここで力強く紡がれていった歌詞には前述したフレーズが織り込まれていて、それはこの夜も燦然とした光を放っていたのである。ダイヤモンドでさえ手入れを怠れば曇ったりくすんだりしてしまうそうだが、メジャーデビューから15年の月日を経た今、LM.Cは輝きを保ち続けるどころか往時よりもさらに磨きのかかった状態で我々の目前に存在していたのだ。

 ちなみに、今回のライヴにおいて冒頭を飾った曲は「LET ME’ CRAZY!! 」で、この曲タイトルはそもそも“LM.C”の名前が組み込まれたものでもある。と同時に、こちらの歌詞の中では今回のライヴのタイトルに冠されていた言葉を聴くことが出来た。

〈左耳のピアスが揺れる 忘れないように見失わないようにと〉

 そればかりか、ライヴ中盤にはその名もずばりの「左耳のピアス。 」という楽曲も演奏されることになり、ここでは以下のような歌詞が歌われることに。

〈”生きている”という事 いつか”死んでしまう”事 忘れてしまわないように ピアスが揺れる〉

 元をたどれば、15年前に彼らが始動した時。LM.Cはウサギを模したバンドロゴを各アイテムや公式サイト上などで頻用していたのだが、このウサギの左耳部分にあしらわれていたのが“ピアス”で、どうやらここには明らかなる意味が託されていたようなのだ。なんでも、その由来は中世ローマ時代にまでさかのぼり、当時の騎士たちは利き手を何時でも使えるように護るべき人の右側を歩いていたそうで、その結果として護る人と護られる人が互いに眼で確認出来るように“護る人”は左耳にピアスをするようになった、という説があるのだとか。そのことから、何時しかヨーロッパ全体で男性の左耳ピアスは“勇気と誇りの象徴”とされるようになったらしい。

「どうもLM.Cです。今日は我々の15周年記念ライヴということで、ようこそお越しくださいました。気付けばもう、15年以上LM.Cとして生きているんですよねぇ。ほんと感謝しております。今日はその気持ちを余すところなく爆発させて楽しんでいきたいと思ってますので、みなさんよろしくお願いします!!」(maya)

 今春に発表された 最新アルバム『怪物園』からの先鋭的なサウンドと意味深な歌詞が炸裂するアッパーチューン「Elephant in the Room」や、歌というよりメッセージの詰まった詞をリーディングしていく際にmayaが〈ただ そこに鳴り響くのは〉→〈ただ 渋谷公会堂に鳴り響くのは〉とアドリブを加えた「In Future, New Sensation」 など、どれもこれも今日現在のLM.Cにとっての大切な布石となってきた楽曲たちがたくさんふるまわれていったこのライヴは、もちろん演者側のみならず観衆にとっても感慨深い曲たちが揃っていたことはいうまでもない。

 たとえば、2010年に発売されたアルバム『WONDERFUL WONDERHOLIC』に収録されてからというもの、壮大かつロマンティックなバラード「meteorion」は、2009年秋にmayaとAijiが流星群を観に千葉の海ほたるまでドライブをしに行った際の出来事が元になって生まれた、というエピソードも込みでファンに愛されてきたもので、歌詞の中の〈10年後の僕達はなにを見てる?〉という1節が印象的なものとなる。

「このLINE CUBE SHIBUYAはLM.Cとして初めてなんですけどね。この15年の中で、建て替えるまでの渋谷公会堂では10回以上やってたのかな。(中略)初めてやった時(2008年7月19日[☆Rock the PARTY☆’08])はまだC.C.Lemonホールっていう名前だった頃で、建て替え前には88ナイト(2015年8月8日[★☆★☆Good-bye渋公!! 88ナイト☆★☆★「Over The Fantasy, Under The Rainbow.」])とかもやったよね。そういえば、10年前も9月に渋公(2012年9月30日[LM.C LIVE TOUR 2012 -STRONG POP- FINAL])やってるんですよ。いやー、実際に10年後もこうして渋谷公会堂でまたやれてるって嬉しいなと歌いながら思ってました。ありがとうございます」(maya)

 むろん、LM.Cとてこの15年ずっとただ順風満帆に進んできたわけではない。始動時に何かと逆風が吹いていたことは今や懐かしい思い出のひとつであるし、この数年に関してはコロナ禍もありライヴの在り方を試行錯誤する日々が続いていたのも事実となる。また、今年に入ってからはmayaの体調不良により一時ツアーが中断になったり、6月にはAijiが突発性難聴を発症してツアー[怪物園]のファイナルが延期になったこともあった。幸い両者とも無事に復調して今に至っているとはいえ、確かにシビアに考えれば音楽活動なるものは“続けられてあたりまえのもの”とは言い切れないところがあり、今こうして15周年をLM.Cが迎えられているという事実は、なかなかどうして特別なことなのだ。そう思って聴く、コロナ禍を横目に彼らがアーティストとしての覚悟と矜持を託した「End of the End」と、LM.Cの基本的スタンスが音にも詞にも凝縮された「JUST LIKE THIS!!」から、圧倒的説得力をあらためて感じたのは何も筆者だけではないはず。

「15周年といっても、数日後には16周年ですし(笑)。次は20周年を目指していくのかなぁ。まぁ、まだその先はわからないけど。LM.Cとしてはこれからも活動を続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(中略)もしかしたらだけど、この先にはLM.Cが存在しない未来っていうのも生まれてくる可能性があって、その未来では今日のライヴを映像とかで初めて出会って、LM.Cのことを好きになってくれる人もいるのかもしれないよね。そんな全てのLM.Cに向けてこの曲を…trust me!」(maya)

 このとき、mayaが「LIAR LIAR」を歌う前に発した「LM.Cが存在しない未来」という言葉。これはつまり、今のZ世代がマイケル・ジャクソンのMVや音楽にYouTubeやサブスクで初めて出会う=Z世代がMJのいない未来を生きている、ということを意味するようなものだと筆者は理解している。逆に言えば、仮にLM.Cが存在しなくなったとしてもLM.Cの生み出した作品や曲はそれでもなお生き続ける、ということになろう。そのくらい、彼らはLM.Cとして積み重ねてきた歴史に対しての自信と誇りを持っているということにほかならない。

〈掛け替えのない愛しき全てに 終わらない未来を描き続けるよ〉

 と歌われた「The LOVE SONG」にしても、LM.Cの描く真理がハイテンションな音像の中で炸裂していった「The BUDDHA」、記事冒頭でも言及したラストソング「PUNKY ❤ HEART」についても。全ての曲にあふれ返っていたLM.Cの意思は、ある意味でどれも共通していたと解釈することが出来る。

〈煌めく思い出と変わらない想いは時が過ぎても色褪せることはない〉

 もっと端的に言えば、まさに「PUNKY ❤ HEART」の最後で歌われたこの詞も、彼らの15年の日々どころかこの先の未来さえも含めた全てを示唆したもの、と言えるような気がした。
「ここにいるLM.C、今日ここには来られなかったLM.C、過去や未来でLM.Cと出会ってくれる人たち。全てのみなさん、ほんとにありがとうございます!」(maya)

「どうもありがとう。いろいろあった中ではありましたが、15周年ライヴを無事に出来て良かったと思います。今日ここにどうしても来られなかったという方たちがいるのだけは残念ですが、その人たちには近いうち僕らの方から会いに行きたいと思ってますし、どうかこれからも引き続き応援よろしくお願いします!」(Aiji)

 というわけで、10月4日には早くも始動から満16周年を迎えるLM.C。次の動きとしては、恒例になりつつあるハロウィンライヴが今年も10月31日に白金SELENE b2にて開催されるそうで、なんとこれは今夏に行われたツアー[怪物園]の振替ファイナルとなった渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演の時と同様に“政府ガイドラインを遵守したうえでの発声可能”なものになるとのこと!!!

 たゆまぬ英気と揺るがぬ志を持ちながら、彼らふたりの信じる道を邁進し続けていく先に待ち受けるLM.Cの未来。それはきっと美しく尊い輝きとともに在る。

Text by 杉江由紀
Photo by 山内 洋枝(PROGRESS-M) / キセキミチコ

・セットリスト
NO.9
LET ME’ CRAZY!!
Elephant in the Room
Virtual Quest
GaMuShaRa
In Future, New Sensation
ChainDreamers
Panic Time
MOGURA
No Emotion
左耳のピアス。
meteorion
Be STORNG, Be POP.
Ah Hah!
pOlyLifE
Avocado
DREAMscape
End of the End
JUST LIKE THIS!!
LIAR LIAR
The LOVE SONG
The BUDDHA
PUNKY ❤ HEART

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