9GOATS BLACK OUT、ラストライブ "Silence"、3時間半、35曲を演奏!
―「何よりもその音と声がもたらす作品、音楽が、いかに人の心を強く打つことが出来るか」9GOATS BLACK OUTのスタートはそこから始まった。-
2013年2月9日(土)、東京・赤坂BLITZにてラストライブを行った9GOATS BLACK OUT。2008年1月に音源を発売、8月より本格的にライブ活動を始めた。解散を発表したのは昨年7月。その後12月にラストアルバム「CALLING」を発表し、約5年間に及ぶ活動の終焉を迎えた。
開演時間を15分ほど過ぎ、暗転。サポートドラマーTakumiのあとに登場したのは4月に脱退したはずのサポートキーボードでありマニピュレーターであるakaya。そしてギターuta、ベースhati、ヴォーカルryoが登場。メンバーを呼ぶ声が会場に響き渡る。1曲目は「Sink」。彼らが最初に発表した曲である。そのミュージックビデオの映像がバックスクリーンに映し出される。4曲目「BABEL」から激しさを増し、オーディエンスもヘドバンをし、会場は徐々に熱気に包まれてくる。「叫べー赤坂!ラストライブ"Silence"」とryoが煽るとオーディエンスはそれに応えメンバーの名前を力いっぱい叫ぶ。ここから楽曲に合わせバックスクリーンに映し出される様々な映像やミュージックビデオ、楽曲に合わせた、時にカラフルな照明、松明やミラーボールなどの演出が9GOATSの世界観をより立体的に現し、その世界へと引き込まれていく。
「会いたい人へ、もう会えなくなる人へ。会えずとも、この歌よ。届け。」と始まった「Heaven」はステージ一面にスモークが湧き、青い照明とミラーボールがまわり、メンバーも自分も「Heaven」(天国)にいるような気分になる。そのあとはインストルメンタルの「Lithium」が演奏され、「追憶は罪」へと続く。後半戦は激しい曲が欲しくて作ったという「shut up "G"」、初期の楽曲である「ROMEO」、「Salome」「Asche」などアップテンポの曲が続く。「any」が終わると拍手が起こる。
「9GOATS BLACK OUTはこれまで生きてゆくこと、そして死にゆくことその両方を大きなテーマとしてやってきました。今迷っているとか、今苦しんでいるとか、そういう悩みの渦中にいる人にはそこは出口が見えなくて大きな迷路みたいに思える、そんな人たちに僕たちは不安の雨が降っていても、その雨はきっといつか上がるし、そこに陽が射してさらにそこに虹がかかって、そういうことを期待してもいいんだよっていう気持ちで次の歌を歌います。不安の雨に傘をさして「rip current」。」メジャー感のある明るいサウンドから始まるこの曲は目の前にパッと陽が射し、明るい未来を想像できるそんな曲だ。ラストは「願い」。「おかえり」という歌詞から始まるこの曲でryoの優しい声が会場を温かく包み込む。拍手が沸き起こり、悲鳴のようなメンバーを呼ぶ叫び声が会場に響き渡る。「どうもありがとう。」とryo。後半からhatiのベーストラブルがあり少々心配したが、本編はこうして静かに幕を閉じた。
大声援に迎えられメンバーが登場しアンコール。「久しぶりの5人のステージなんで懐かしい曲を聴いてもらいます。」と始まったのが「Den lille Havfrue」。鍵盤の音色が心地よく、初期のステージを想い出す。「9GOATS BLACK OUTはいわゆる、生きることと死ぬことを両方肯定していろいろやってきました。」とryo。時代の空気、生死に対しての感じ方が変わる気がしたことが一つ、ryoの父親の死が一つ。日常には死を感じることや老いを感じること、それをあえて音にして、言葉にして自分たちの記憶として世の中に出そう、そういうことに向き合うために書いたという曲が「TANATOS」だそうだ。「死について、愛について、「TANATOS」。」苦悩に満ち溢れたryoの歌から始まるこの曲はテーマに考えさせられる。タナトスとはギリシャ神話における死の神のことである。「Panta rhei」が終わると「大丈夫疲れてない?」とryo。ここまでで既に25曲。「さっきから生きるとか死ぬとか言っているから、9GOATSを初めて見る人は「なんて重いんだろう」と思うかもしれないですけど(笑)。」とryoが言うと会場にもどっと笑いが起こり張りつめた空気が和らぐ。「他にもいろいろあります、愛や悲劇や別れや出会いやそれと矛盾。この世の中は矛盾ばかりだと思っている。でも、矛盾ばかりじゃなくてこうやって出会えた奇跡もあるし、それは言葉でいうのは昔はすごく恥ずかしかったけど今はほんと、心からそう思っています、みんなにあえて幸せです。どうもありがとう。」とryo。会場からは拍手が起こる。「眠れない、そんな夜があったら、次の曲を思い出してください。「Sleeping Beauty」。」utaのギターソロから始まりryoの優しい声がまるで子守唄のようだ。「ありがとう。今日は9GAOTS BLACK OUTラストのライブです。ライブらしく、騒いでいこうか!?騒げるかーーー??」と煽りここからは激しい2曲「HARMS」、「Who's the MAD」が続き、会場も再びテンションが上がり「オイ!オイ!」と拳が上がり狂いまくる。
ダブルアンコールではtakumiとakayaが登場し、物販紹介を行った後、メンバーが登場。utaは「最後まで楽しんで帰ってください。」hatiは「いろいろあります。今日が9GAOTS BLACK OUT最後です。泣きそう?泣いて!(笑)」と笑いを誘いつつ、「5年間、9GAOTS BLACK OUTというバンドを応援してくれたすべての人に感謝しています。こうやって出会えたことがすごく誇りに思っています。みなさんもバンドの音楽に出会えて、曲に触れたことを誇りに思ってください。どうもありがとうございます。」ryoは「曲は残ります。同じ時間に生きてて、同じ空気を吸って、それが覚えている限りは僕らの関係は切れないから、ある意味今日が最後だけどこれからもずっと続いていくと思って、最後は派手に騒いで笑顔で帰ってもらいたいと思います!いいかーい!!??いけるかーーーー??」と煽り、「dye an unease」へ。「もっと行こうぜー!生きてるか?心臓の音聞かせろよ!」と「690min.」「float」「軽蔑」と続き、会場もメンバー叫び、体を思い切り動かしヒートアップし続ける。「頭振っていこうぜ!!」と始まったのは「headache」。間奏にはもちろん懐かしのakayaタイムも復活!「すごく長い時間かけてお付き合いいただいてみなさんほんとうにどうもありがとう。今日ここに集まってくれた人、ここにいないけれども思いを巡らせてくれた人、皆さん全てにお礼をいいます。ありがとうございます。一緒に生きてこれてよかったです。様々な感情を共有してやってこれたことが何よりの誇りです。僕らが描く愛と死と出会いと夢と別れと希望とすべてを詰め込んだこの曲を聴いてください。」と始まったのが「甘美な死骸」。そしてラストは「8秒」。この曲はラストアルバム「CALLING」の最後に収録されている曲であり、「sink」で始まった9GOATSの活動、ラストライブを締めくくるのに相応しく本当にこれで最後だと感じさせる。さすがにメンバーもグッとくるものがあり、感極まっている感じが遠目でもわかった。
メンバーが退場すると、バックスクリーンにエンドロールが始まり、今までの活動履歴が流れた。「解散をさせますと告知をしてから、半年間、どうすればできるだけ多くの人が納得してもらえるかを考えてきた。」とryoはMCで言っていたがこの半年間、充分過ぎるくらい9GAOTS BLACK OUTの活動や世界観を見させてくれて、綺麗に終焉をさせてくれたと私は感じる。多くの人の様々な想いが詰まった5年間がギュッと凝縮されたラストライブだったと思う。計35曲約3時間半があっという間に感じた。9GOATSの音と声がもたらす作品、音楽はあの場にいた人、遠くから応援していた人、9GOATSを応援している全ての人たちの心の中に彼らの音楽はずっと生き続けることは間違いない。
このライブの模様は2013年春~夏頃にDVDとなり発売が予定、また未発表曲を含めたベストアルバムもリリースされるとのことだ。詳細はオフィシャルサイトで後日発表される。
9GOATS BLACK OUT
2013.2.9(土) 赤坂BLITZ Last Live "Silence"
セットリスト
1.sink
2.夜想
3.red shoes
4.BABEL
5.you
6.BLANK BLACK
7.Lestat
8.Canaria
9.憂鬱と孤独
10.missing
11.raw
12.揺り籠
13.Heaven
(インストルメンタル「Lithium」)
14.追憶は罪
15.shut up "G"
16.Table of the Mortal Sins
17.ROMEO
18.Salome
19.Asche
20.any
21.rip current
22.願い
ENCORE1
23.Den lille Havfrue
24.Tanatos
25.Panta rhei
26.Sleeping Beauty
27.HARMS
28.Who's the MAD
ENCORE 2
29.dye an unease
30.690min.
31.float
32.軽蔑
33.headache
34.甘美な死骸
35.8秒
9GOATS BLACK OUTオフィシャルサイト
2013年02月17日 22:50