「tkmk爆女祭」、生み出したものと辿り着いた場所。そして Vol.2へ。
今年生まれた怒涛のイベント「tkmk爆女祭」。今年5月、Vol.0として渋谷CLUB CRAWLで、全31組100名以上の出演者が共演、怒涛の 7日間連続イベントを決行した。ホストバンドは Caramel、7日間連続出演という苦難を越えて、見事イベントを成功させた。そして 11月には、同じく渋谷CLUB CRAWLにて Caramelと CREAがホストバンドとなり、Vol.1が開催された。出演者は全26組総勢100名以上。次世代のガールズバンドを中心に、型にはまらないアイドルや女性シンガーソングライター等が 1週間を通して渋谷の夜を熱く盛り上げた。そして 12月11日、Vol.1の余韻と熱気がさめやらぬうちに、あの興奮を再体験できる後夜祭編が新宿ReNYで開催された。
tkmk爆女祭の出演者の中には、目を見張る程の活躍をし、話題を集めるようになったガールズバンドが多数出てきている。同イベントは、昨今のガールズバンド・シーンを見据える上で欠かせないイベントに成長した。直近に行われた Vol.1と後夜祭編を振り返ってみよう。
Vol.1の初日、トップバッターを務めた「凸凹凸凹-ルリロリ-」はパワフルなサウンドで会場に火を付けた。大阪から駆け付けた「ЯeaL」はロック魂あふれるステージで観客を魅了した。「逢瀬アキラ」は赤いサイリウムの中で生々しい物語を展開、ホストバンド「CREA」はハードな演奏と重く激しい楽曲で世界を作る。もう一つのホストバンド「Caramel」は掟破りの新曲 6回連続演奏でわっしょい伝説を作り、トリの「BAND-MAID®」はメイド姿にヘヴィなロックサウンドで全身を揺さぶった。
2日目、「Brats」はフェミニンな衣装に身を包み、ハードな演奏で個性的なステージング、「ヒラガナ路線」は軽快でスタイリッシュな演奏と楽曲で会場を盛り上げた。「CREA」は「正統派なりの格好良さを見せてやるぜ!」と熱く高ぶらせた疾走曲をお見舞い、「Caramel」は熱い演奏で何でもアリの狂乱状態へ、まなみのりさとのコラボも。トリの「まなみのりさ」は「ポラリスナンバー」祭りで会場は熱狂状態に。
3日目、トップの「CREA」はドライブ感の強い2曲の新曲を武器に、会場に熱狂の火を付ける。独自の世界観で活躍する「HERe:NE」はこの日も魅力全開。モッシュの嵐から場内はぐっちゃぐちゃに。衝撃が走った「絶叫する60度」、展開された絶叫と会場のバトルとステージからの殺気がすさまじかった。「Caramel」は冒頭のハイテンションナンバーから火がついたようにまたも狂乱の状態へ。ステージと会場との戦いにもなっていた。がんばれ!Victory・しのぶ、みなみとのコラボも。トリは「がんばれ!Victory」、心地よいロックチューンは、青春の夢とドキドキを感じさせてくれた。
4日目、マスクアイドル「Malcolm Mask McLaren」、パンキッシュに展開する彼女達のステージに観客はジャンプ、ダイブ、走り回って楽しんでいた。「Caramel」はこの日はゆったりとスタート、久しぶりのカバー曲を含め、皆笑顔でライブを楽しんでいた。「CREA」はいつにも増してハードな展開へ。ギターを叩き壊し、3人で演奏を続けるなど、観客達も力の限りステージに向かっていた。「THE LEAPS」は 2ピースという違った景色でシンプルなカッコ良さを会場にしっかりと届けていた。トリは「HEAD SPEAKER」、ポップセンスが光る楽曲とボーカルで会場を魅了し、観客は心地よく浸っていた。
5日目、トップバッターは「Hysteric Lolita」、ドラマチックでハード、麗々しさとロマネスクを携えた楽曲で感情を刺激するステージを披露した。続く「SEKIRARA」は絶叫でスタート、変拍子と独特な音使い、オリジナリティの高い楽曲で会場を魅了した。この日の「Caramel」はしっとりとスタート、と思わせて肩を組んで身体を揺らす観客のパワーは衰えていなかった。「CREA」は前日のアクシデントを乗り越え、パワフルな CREAとフロアには熱狂する観客。素敵なライブを作り上げた。トリは「もちとちーず」、柔らかなサウンドと絶妙なハーモニーで観客はじっくりと聴き入り、あたたかな空気でいっぱいとなった。
6日目、大歓声で迎えられた「La PomPon」、アグレッシブなダンスを披露、破壊力の高い笑顔を会場に届けていた。「SORAMIMI」はロック志向の高いそのサウンドで会場の一体感を高め、「Split BoB」はタイトな演奏と澄んだボーカルで、次々と彼女達の世界を展開、熱狂の渦を作り出していた。この日は攻めた「Caramel」、限界まで攻める地獄セトリで観客に挑み、史上最大の「無茶苦茶」なステージとなった。「CREA」はステージから音圧と「気」を放ち、熱狂する観客とメンバーの笑顔が印象的だった。トリは「たんこぶちん」、ハードで楽しい彼女達のステージに手拍子と掛け声を合わせて笑顔で楽しむ観客。一つに溶け合ってゆく興奮の様を描いていた。
そして最終日、メンバーは14歳~16歳「GIRLFRIEND」、初々しいその立ち姿と伸びやかで力強いボーカルが印象的だった。「ガールズロックバンド革命」は最高にパワフルなドラミングに乗せて、一気にたたみ掛け、アップテンポな楽曲に熱気は一気にヒートアップしていた。「Le Lien」はシンプルなコード進行に乗せたツインボーカルのメロディが心地いい。会場では一斉にタオルを回す圧巻の景色が。7日目となる「Caramel」、「死ぬ気でかかってこいよー!」の煽りから一瞬にして熱狂へ。無茶苦茶状態の熱狂の中、全力を出し切っていた。世界観をきっちりと表した「ザ・ヒーナキャット」、サウンドはどこか懐かしいストレートなロックボーカル、「恋がしたい」では会場全体で大合唱も。最終日の「CREA」、この 7日で何かを見つけた彼女達の笑顔は素晴らしく、そのパワーに会場は全ての力を振り絞ってステージに対峙していた。その光景は息が止まるほどの素晴らしさだった。
続いて後夜祭編。トップバッターは「HEAD SPEAKER」。「後夜祭、準備はできてますかー!」 大きな声で腕を振り上げて応える観客。アップテンポな曲に合わせ、観客は飛び跳ねながらライブを楽しみ、会場の熱気を十分に高めていた。
2番手の登場は「凸凹凸凹-ルリロリ-」。圧倒されるほどパワフルなステージは健在。「みんな、ヘドバンするよー!!」と会場を煽り、一気に会場はヒートアップ。ハードな楽曲に合わせて声を上げ、飛び跳ねる観客は存分に彼女達のライブを楽しんでいた。
3番手は「逢瀬アキラ」。赤いサイリウムで埋まった会場、この日のステージング、会場への煽りもいつにも増してアグレッシブな彼女。激しいアクションと歌唱で会場にしっかり伝わっていた。
4番手は「Caramel」。この日は彼女達の今年100本目のライブ。冒頭の新曲から会場は一気に最高レベルまで高まる。中盤では、これまで応援してきてくれたお客さんを称える表彰式をしてしまうというサプライズも。ラストはいつものごとく狂喜乱舞の様相となった。
5番手は「がんばれ!Victory」。声を上げて腕を振り上げる観客と、笑顔で演奏をする彼女達。この雰囲気が彼女達のライブの魅力。初々しさと安定感の両方を感じることのできる独特なパフォーマンスで彼女達らしさ全開。ニューシングルの曲も披露し、激しいながらもふんわりとした優しい空気が漂う、そんな気持ちを観客に抱かせていた。
6番手は「まなみのりさ」。元気いっぱいに登場した彼女達。キレのあるダンスは変わらない魅力。MCでは、Caramel愛溢れるメッセージも。観客が一斉にアクションをする形は変わらず、この一体感が彼女達のライブの魅力であろう。
出演バンドの最後は、Vol.1でも大トリを務めた「CREA」。一発目からハードな曲をお見舞いし、会場の熱気が一瞬でピークまで上がっていた。この日の CREAは、気合は入っているが気負ってはいない、自然な CREAをストレートに表現することに迷いがない、そんな気持ちと強さがステージ上から感じられた。そして、「tkmk爆女祭 Vol.2」が CREA主催で開催されることが発表された。
そしてスペシャルバンドの登場である。チームAは CREAの「REASON」、チームBは まなみのりさの「vポラリスAb」、チームCは Caramelの「恋愛少女」、チームDは逢瀬アキラの「Ms.Amyは夢遊病」を披露した。観客はメンバー登場時にまず「おおおー!」と期待を込めた歓声を。そしてお馴染みの楽曲を違うバンドのメンバーが演奏する姿を、楽しそうに、そしていつものように激しく盛り上げていた。このスペシャルバンドも、tkmk爆女祭ならではの楽しさである。多くの出演者、観客が長い期間、同じ時間を共有する基盤ができていることに、独特な楽しみを見出すことができるのだ。
Vol.0、Vol.1、後夜祭編と開催された「tkmk爆女祭」。そこで何が起きていたのか。各アーティストの素晴らしいステージはもちろんのこと、このイベントならではのコラボレーション、サプライズ、ハプニング。バリエーションに富んだアーティストの素晴らしいパフォーマンスが生まれる。そして「tkmk爆女祭」の特筆すべき点は、7日間連続で開催されることが大きな特徴を作り出していることである。観客の中には、複数日参加した人、さらには 7日間連続で参加した人も少なくない。それだけの時間を共に過ごすという一体感が、「ライブ」の現場に象徴的に現れてくる。そして会場一丸となってライブを楽しむという素晴らしい空間を作り出すのである。そしてその一体感は観客のみに留まらない。共にステージに立ったアーティスト同士、さらにはスタッフにもその一体感は醸成される。アーティスト達の素晴らしいパフォーマンスに、この「人のつながり」が加わり、素晴らしい空間が作られていくのだ。
出演者、お客さま、スタッフが全員で作り上げたもの、そのことが参加した人全員の心の中に刻み込まれた「tkmk爆女祭」。これからどのような進化を遂げ、歴史の中に何を刻み込んでいくのか。その進化を楽しみにしていて欲しい。
Text: 大泉 繁
tkmk爆女祭 オフィシャルサイト
http://www.bakuonsai.com/
MROCKS9 tkmk爆女祭 特集サイト
https://mrocks9.com/tkmk/